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Sunday, May 24, 2020

インダストリー4.0向け5Gの3大ポイント、3GPPが次仕様に盛り込む - ITpro

 移動通信の標準化団体である3GPP(Third Generation Partnership Project)は2020年5月13日、工場自動化やIndustry 4.0など、産業界に向けた5G仕様検討状況についての解説を掲載した(3GPPのニュースリリース)。IEEEのTSN(Time Sensitive Networking、リアルタイム性の高いネットワーク)を含む、LAN接続時認証規格IEEE 802.1との統合に向けて仕様検討を行い、リリース16では、「Vertical_LAN」として、次の3つの項目を盛り込む。

  • (1)IEEE TSNへの橋渡しとしてシームレスに5Gシステムを統合することで、TSN通信をサポート
  • (2)非公共(Non-Public)ネットワークをサポート
  • (3)5G-LANタイプサービスをサポート

5G Time Sensitive通信

 IEEE TSNは、低遅延、かつ、決められた時間内で必ず通信を完了する時間確定的(deterministic)通信をサポートする、工場自動化などに有用な技術だ。一方5G Time Sensitive通信では、その時間確定的な通信と、単位時間当たりの最低データ転送量を保証する等時性(isochronous)通信をサポートする。こうして、終端に位置するシステムとその中継/伝送ノード間で厳密な同期を行うことで、高信頼性低遅延のパケット送信を実現する。

 3GPPでは、5Gシステム全体を、時刻同期規格であるIEEE 802.1ASの時間認識システムとみなすことで、時間同期を実現する。5Gシステムの終端に位置するTT(TSN Translator)のみがIEEE 802.1ASの運用下に置かれ、ユーザー端末(UE)や5G基地局(gNB)、ユーザーデータ転送機能(User Plane Function、UPF)、ネットワーク側TT(NW-TT)、端末側TT(DS-TT)は、5Gグラウンドマスタークロック(5G GM、ネットワーク内の時間同期を行う内部システムクロック)に同期して動作する。

5GシステムをTSNの橋渡しとした場合のアーキテクチャー図

5GシステムをTSNの橋渡しとした場合のアーキテクチャー図

出所:3GPP

[画像のクリックで拡大表示]

TTは、IEEE 802.1ASのすべての機能を満たして動作する。これにTime Sensitive通信(time sensitive communication、TSC)支援情報も導入することで、5G RANにおける時間確定的な通信と最適化されたスケジューリングでのTime Sensitive通信を実現する。 

5G非公共ネットワーク

 5G非公共ネットワーク(Non-Public Network、NPN)は、プライベート用途の5Gシステムを提供する。その提供方法には、下記の2種類がある。

  • SNPN(Stand-alone Non-Public Network):スタンドアロン形式の非公共ネットワーク。PLMN(Public Land Mobile Network、公共移動通信ネットワーク)の機能に依存しない形で運用する
  • PNI-NPN(Public network integrated NPN):公共ネットワーク統合型の非公共ネットワーク。PLMNのサポートを受けて提供する

 SNPNでは、PLMN IDとNID(ネットワーク識別子)の組み合わせで識別を行う。SNPN対応の端末には、SUPI(subscriber identifier、加入者識別子)と、PLMN IDとNIDを組み合わせで識別される加入者SNPNごとの資格証明書で設定を行う。NIDの割り当て方式には、下記のようなものがある。

  • 自己割り当て方式:NIDはSNPNがサービス開始時に個別に選択するため、一意なIDとはならないが、調整割り当て方式のNIDとは異なるID空間が使用される
  • 調整割り当て方式:NIDは(1)PLMN IDから独立した全世界的に一意なIDとして割り当てられる、(2)NIDとPLMN IDの組み合わせが全世界的に一意なIDとなるように割り当てられる、のいずれかの方法で割り当てられる。

 SNPN RANは、システムブロードキャストの形でPLMN IDとNIDを送信し、PLMN IDとNIDを使ってネットワークの選択、過負荷制御、アクセス制御、アクセス禁止などの処理を行う。リリース16では、端末がPLMNとSNPNの両方からサービス取得できる加入者権限と資格証明を持っている場合に、SNPN RANを使用中の端末がPLMNサービスを取得できる機能も盛り込んでいる。

 一方、PNI-NPNの場合には、PLMN IDがネットワークを識別し、CAG(Closed Access Group、指定された者だけがアクセス可能なグループ) IDがCAGセルを識別する。CAGセルはPLMNごとに1つ、もしくは複数のCAG識別子を送信する。ネットワーク選択や再選択はPLMN IDに基づいて実施され、セルの選択や再選択、アクセス制御はCAG IDに基づき行われる。CAGセルは、CAGをサポートする端末のみがセルにアクセスするように情報を送信する。

5G LANタイプサービス

 5G LANタイプサービスでは、LANやVPN(Virtual Private Network、仮想プライベートネットワーク)と同様の機能を使ったサービスに加えて、5Gの性能、通信距離、モビリティー、セキュリティー機能を使った改善がなされている。5G LANタイプサービスでは、5G VN(Virtual Network、仮想ネットワーク)グループ識別、メンバーやグループデータの管理が可能となっている。5G VNグループ管理は、ネットワーク管理者が設定することも、サードパーティーアプリ(Application Function、AF)で動的管理することも可能となっている。

 5G VNグループ識別とメンバーの動的管理を実現するために、NEF(Network Exposure Function)にて、グループやメンバーの追加や削除、各種変更などの一連の管理機能やグループデータを動的管理する機能を公開する。2つの端末が同じユーザープレーン機能を使用時に、それら端末間がデータネットワークを横断することなく最適な経路で通信できるよう、ユーザープレーン機能のローカルスイッチングを可能にする機能も用意している。

リリース17における産業用IoTのサポート強化

 以上のように、リリース16では、5G仕様に産業向けIoTの主要機能を導入する。その後のリリース17では、上りリンク時の5Gシステムを介した同期サポート、端末に接続された複数のクロックドメインのサポート、5Gシステムを介して端末側に接続されたTSN GM(TSNのグラウンドマスタークロック)と端末の時間同期サポートなど、IEEE TSNとの統合をさらに強化する機能も導入予定だ。

 リリース17では、時間確定的なアプリケーションに関する、IEEE TSNを超える機能強化も実施するため、端末間のTime Sensitive通信とその最適化に向けて、Time Sensitive通信サービス用ネットワーク機能も公開していく。SNPNと異なる事業者の加入者権限と資格証明との連携や、SNPN対応端末のオンボーディングやプロビジョニング、SNPNでの音声やIMS(IP multimedia subsystem)による緊急時サービスなど、さらなるSNPN機能強化も進めていく。

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