Pages

Thursday, October 20, 2022

神戸連続殺傷の記録廃棄、佐世保児童失血死や岡山バット撲殺も…他の少年事件でも廃棄発覚 - 読売新聞オンライン

 神戸市須磨区で1997年に起きた連続児童殺傷事件で、神戸家裁は20日、殺人容疑などで逮捕され、少年審判を受けた当時14歳の加害男性(40)に関する全ての事件記録を廃棄していたと明らかにした。最高裁は史料的価値が高い事件記録の事実上の永久保存を義務づけているが、家裁によると、対象としていなかった。家裁は「廃棄は適切ではなかった」とする一方、経緯や原因の調査は行わないとしている。

 少年審判は非公開で、当時は被害者遺族も傍聴できなかった。廃棄により、審判過程の検証が将来にわたって不可能になった。

 家裁などによると、廃棄された文書は、少年審判の処分決定書、兵庫県警や神戸地検による加害男性の供述調書、精神鑑定書、家裁調査官による加害男性の報告書などとみられる。

 最高裁が1964年に作成した「事件記録等保存規程」は、少年事件の記録の保存期限について少年が26歳に達するまでと定める一方で、史料や法令解釈の参考資料となるべきものは、その後も保存しなければならないと規定。「特別保存」と呼ばれ、事実上の永久保存を義務づけたもので、各裁判所が対象を決める。

 最高裁は1992年2月7日付の通達で、特別保存の具体的な対象を示し、▽世相を反映し、史料的価値の高い事件▽全国的に社会の耳目を集めた事件▽少年非行等に関する調査研究の重要な参考資料になる事件――などを挙げた。

 加害男性は事件当時、「 酒鬼薔薇聖斗さかきばらせいと 」と名乗り、神戸新聞社に犯行声明文を送るなど注目された。事件を契機に2001年4月に改正少年法が施行され、刑事罰の対象年齢が16歳以上から14歳以上に引き下げられるなど厳罰化が進んだ。

 家裁の横山経成総務課長らは20日、報道陣の取材に、特別保存の対象事件にしていなかった理由を「わからない」と答え、「当時の担当に経緯を確認しても個人の見解にとどまる。これ以上は調査しない」と述べた。

 最高裁は「廃棄の判断が適切だったかについて見解は差し控える。調査は検討していない」とした。

 事件で次男の淳君(当時11歳)を失った土師守さん(66)は「司法の責任としてしっかり調査すべき問題で、うやむやにしてはならないと感じる」と話した。

 世間の耳目を集めた他の少年事件でも記録が廃棄されていたことが、各地の家裁への取材でわかった。

 長崎県佐世保市で2004年、小学6年の少女(当時11歳)が、同じクラスの女児(同12歳)をカッターナイフで切りつけ、失血死させた事件でも、全ての事件記録を長崎家裁佐世保支部が廃棄していた。少女は同年9月、同支部の決定で児童自立支援施設に送致された。長崎家裁によると廃棄は19年2月28日で、「特別保存」の対象としていたかどうかや、廃棄した記録の詳細、理由などについては「調査中」としている。

 岡山県で00年6月、県立高校3年の少年(当時17歳)が後輩の野球部員を金属バットで殴打して負傷させ、自宅で母親を殴り殺した事件の記録も全て廃棄されていた。少年は少年審判で特別少年院送致となった。岡山家裁は「廃棄の経緯は不明」としている。

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 神戸連続殺傷の記録廃棄、佐世保児童失血死や岡山バット撲殺も…他の少年事件でも廃棄発覚 - 読売新聞オンライン )
https://ift.tt/8mn3EAe

No comments:

Post a Comment