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Monday, July 4, 2022

九州豪雨2年 道路復旧終わらず - Au Webポータル

土砂崩れなどで寸断された県道で、当時のことを振り返る川口さん(6月27日、熊本県芦北町で)

 2020年7月の九州豪雨で計122集落が孤立した熊本県球磨村など県南部の3市町村で、大雨などの災害時に水没や土砂崩れなどで周辺の道路が寸断され、住民が指定避難所へ避難できずに孤立する可能性が高い集落が31か所あることが熊本県の調査でわかった。4日で豪雨から2年となるが、被災した県管理道路全体の約4割で復旧工事を終えておらず、住民には「孤立」が繰り返されることへの不安が広がっている。(有馬友則)

 九州豪雨では、土砂崩れや河川の氾濫により各地で道路が寸断。同県内では166か所で集落が孤立した。

 県は昨年度、孤立集落が計122か所と集中した八代市坂本町、芦北町、球磨村で県が管理する県道や国道など計約2800区間を調査。「これまでに被災したことがあるか」「土砂災害警戒区域を含むか」など4項目について点数化し、危険性を評価した。

 そのうえで、これらの道路を使って集落から自治体の指定避難所に安全に避難できるかを判断。今回、孤立の可能性が高いとされた31か所はすべて集落外に指定避難所があり、危険性が高いとされた道路が主な避難路となっていた。

 31か所のうち、芦北町の白石地区は2年前、球磨川の氾濫で全20世帯のうち17世帯が浸水。住民約30人は高台の空き家に避難して無事だったが、集落を南北に貫く県道が土砂崩れなどで寸断。町の指定避難所は約4キロ離れた集落外にあり、道路復旧までの約1か月間、ほとんどの住民は被災した自宅にとどまった。

 町は豪雨後、住民が避難した空き家に防災倉庫を設置して発電機などを備蓄。一方、この2年で9世帯が転居して高齢化が進み、孤立を想定した訓練の実施も難しいという。豪雨時に区長だった川口重行さん(73)は「また孤立したら、全員が無事でいられるか。自治体は早く対策を進めてほしい」と訴える。

 県によると、九州豪雨では県が管理する道路の435か所が被災。今年5月現在で約4割にあたる166か所の復旧工事が完了しておらず、このうち125か所が3市町村を含む県南地域にある。復旧工事は被災前の状況に戻す「原状回復」が原則で、土砂崩れの防止など根本的な対策はその後となる。赤木宣文・県道路保全課長補佐は「調査結果を市町村と共有し、住民が地元で安心して暮らせるよう優先度を考えて対策を進める」と話す。

■ドローン 輸送や情報収集に

 集落の孤立に備え、各地で様々な対策が行われている。

 九州豪雨で多くの集落が孤立した熊本県芦北町は、被災から約半年後、ドローン2機を計約360万円で購入。水や医薬品、無線機などを3キロ・グラムまで運べる輸送用と、スピーカー付きの情報収集・伝達用をそろえた。操縦は講習を受けた町職員12人が行う予定だ。

 6月5日には町民総合センターで年に2度の防災訓練があり、参加した町職員8人が2階の観客席から川の対岸に見立てた1階のステージにドローンを正確に飛ばす練習をした。

 南海トラフ巨大地震による被害が予想される大分県は、津波で道路が被災することを想定し、2015年2月に孤立集落への支援に関する指針を策定。可能性が高い938集落には、1週間分の食料などの備蓄や、上空のヘリコプターなどに要救助者の有無を伝える「サイン旗」(2メートル四方)の配備を定めるなどした。

 岩手大地域防災研究センターの福留邦洋教授(地域防災学)は「救助まで自助・共助で乗り切る準備が必要だ」として各家庭での食料備蓄などを勧めたうえで、「自治体が住民の努力では解決できない課題について把握し、新たな支援制度を設けるなど地域の実情にあった柔軟な対応をしていくべきだ」と述べた。

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