防衛費の増額で不足する財源をめぐり、自民党税制調査会の幹部が会合を開き、法人税を軸に東日本大震災からの復興予算にあてられている「復興特別所得税」の一部を活用するなど、複数の税目を組み合わせる案を基本としながら議論を進めていくことを確認しました。
防衛力の強化に向けて、岸田総理大臣は、防衛費の増額で不足する財源を賄うため、与党に増税の検討を指示しています。
これを受けて、自民党税制調査会の宮沢会長や幹部を務める甘利前幹事長、額賀元財務大臣らが、11日午後、東京都内で会合を開きました。
会合では、法人税を軸にたばこ税や酒税のほか、東日本大震災からの復興予算にあてるため、所得税に上乗せされている「復興特別所得税」の一部を活用するなど複数の税目を組み合わせる案を基本としながら議論を進めていくことを確認しました。
一方、党内から増税の議論に反発の声が出ていることを踏まえ、増税を開始する時期や税率など制度の詳細については、この年末に決定せず、来年以降、議論を継続すべきだという指摘も出されました。
このほか、週内に与党の税制改正大綱のとりまとめを目指す方針を確認しました。
宮沢氏は11日夜、総理大臣公邸で岸田総理大臣と会談しました。税制調査会の議論や党内の状況などをめぐって意見を交わしたものとみられます。
自民 萩生田政調会長 “この5年は国債も選択肢”
防衛力の強化に向けて、岸田総理大臣は、防衛費の増額で不足する財源をまかなうため、与党に増税の検討を指示していて10日夜の記者会見で、財源にあてるための追加の国債発行を否定しました。
これに関連して萩生田政務調査会長は、訪問先の台湾で記者団に対し、「岸田総理大臣の発言は、GDP2%に達する予算措置を確保した5年後の令和9年度=2027年度以降のことを言っていると思う。この5年間で必要な財源は、あらゆる選択肢として、例えば国債も排除せずに予算を組み、防衛力を高め、目に見える成果を出したいということだ」と述べ、この5年間は国債の追加発行も排除されないという考えを示しました。
また今週、自民党内で増税に向けた本格的な検討が始まることについて、「将来の税目や税率を税制改正大綱に書き込まないとすべての人たちに増税の可能性があるという心配をかけてしまうこともある」と指摘し、ある程度、税目などを明示する必要があるという認識を示しました。
立民 安住国対委員長「復興特別所得税は本末転倒」
また政府・与党内で、東日本大震災からの復興予算にあてられている「復興特別所得税」の活用が検討されていることについて、「大災害で国民に了解をいただき復興費用を国債に頼らずにやってきた税を、防衛費の増額にあてることは全くの目的外使用で本末転倒だ」と指摘しました。
一方、国会対応をめぐる日本維新の会との今後の連携に関して、「臨時国会での成果はきのう確認し、次の段階にこの財産を生かせるようにしたいということで一致しているが、具体的にどの政策分野で連携していくかは、これから維新の会の遠藤国会対策委員長と話し合いを進めていく」と述べました。
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