今から20年前の2002年8月7日、川崎市と東京・大田区の間に架かる多摩川の丸子橋付近に北極圏を中心に生息する野生のアザラシが出現した。1歳前後と推測されるオスのアゴヒゲアザラシ。愛らしい姿から「タマちゃん」と名付けられた人気者の動向に日本列島が沸き、地元では「タマちゃんを見守る会」が結成された。
2代目会長を務める相沢亮治さん(81)は当時、横浜市保土ケ谷区の自宅から丸子橋まで自転車を約2時間こぎ、連日観察した。自動車メーカーの研究職を退職したばかりだった。「定年を迎えて何をしていいか分からなくなる人も多いと思うが、没頭できるものを見つけた気分でした」
ストップウオッチを手に、陸に上がって何分休んだかなど詳細なデータを収集。多摩川を含めて東京湾につながる七つの河川に現れ、その移動距離は6364キロ。特徴的なアゴヒゲは300本あることも分かった。どうやら「常連」の顔を覚えていて、顔なじみを見つけると近寄ってくることも知った。
04年4月12日に荒川で目撃されたのを最後に姿を消したタマちゃんはその後、どうなったのか――。アゴヒゲアザラシの寿命は20~30年とされており、生きていれば晩年にさしかかっている。
「タマちゃんにもう一度、会いたい」。見守る会が今なお全国のアザラシ目撃情報を交換するなど活動を続けているのは、多くの人にそんな願いがあるからだ。実は、相沢さんはタマちゃんがけがをした際の血液を採取しており、DNA鑑定済み。再び姿を現せば、同一個体かどうか識別できるようになっている。【高橋秀明】
からの記事と詳細 ( あれから20年、タマちゃんにもう一度 見守る会2代目会長の夢 - 毎日新聞 )
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