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Tuesday, February 1, 2022

21年衆院選は「違憲状態」 1票の格差訴訟、高松高裁判決 - 毎日新聞 - 毎日新聞

「1票の格差」訴訟の高松高裁判決後、「違憲状態」と記した紙を掲げる升永英俊弁護士(右)ら=高松市で2022年2月1日午後3時33分、喜田奈那撮影 拡大
「1票の格差」訴訟の高松高裁判決後、「違憲状態」と記した紙を掲げる升永英俊弁護士(右)ら=高松市で2022年2月1日午後3時33分、喜田奈那撮影

 「1票の格差」が最大2・08倍だった2021年10月の衆院選は投票価値の平等を定める憲法に反するとして、弁護士グループが四国4県の全11選挙区の選挙無効を求めた訴訟の判決で、高松高裁(神山隆一裁判長)は1日、小選挙区の区割りを「違憲状態」と判断した。選挙無効の請求は棄却した。

 二つの弁護士グループが全国14の高裁・高裁支部に起こした同種訴訟で初めての判決。各地の判決が出そろえば、最高裁が統一判断を示す。政府や国会が次期衆院選に向けて進める選挙区割りの議論に影響する可能性がある。

衆院「1票の格差」と最高裁の判断 拡大
衆院「1票の格差」と最高裁の判断

 選挙区内の有権者数が多い都市部と比べ、地方では当選に必要な票数が少なく、「1票の価値」に格差があると問題になってきた。21年衆院選では、当日有権者数が最も少なかった鳥取1区と、最多の東京13区で2・08倍の差があった。

 神山裁判長は判決で「格差が2倍以上になると、国会の広範な裁量権を考慮しても違憲の疑いがある」と指摘。今回は29選挙区が2倍以上となり、「違憲状態にあったと認めるのが相当だ」と述べた。

 一方で、国会が選挙前に格差が2倍以上となることを認識できたとは認められないと指摘。「区割りが改定されなかったことをもって国会の裁量権の限界を超えるものとはいえない」として、違憲とまではいえないと結論付けた。

 国会は16年、人口比をより正確に反映する「アダムズ方式」を20年の国勢調査後に導入することを決定。暫定措置として定数を「0増6減」した結果、17年衆院選は格差が1・98倍になった。小選挙区制を導入した1996年以降で初めて2倍を下回り、最高裁は18年、07年以来の「合憲」判断を示した。

 しかし、21年衆院選はアダムズ方式での区割りが間に合わず、前回と同じ区割りで選挙を実施。人口変動に伴い、格差は再び2倍を超えた。

 アダムズ方式に基づけば次期衆院選で小選挙区の定数は15都県で「10増10減」となる予定だが、自民党内には異論もある。政府の衆院選挙区画定審議会(区割り審)は22年6月下旬までに首相に改定案を勧告する。【喜田奈那】

アダムズ方式

 米国第6代大統領アダムズが1830年に考案したとされる議席配分の計算方法。各都道府県の人口をある数(基準値)で割って商の小数点以下を切り上げ、その合計が小選挙区の総定数(289)と等しくなるよう基準値を調整する。人口比を正確に反映できるメリットがある。国の審議会が2022年6月までに同方式での区割り改定案を首相に勧告し、次期衆院選から適用される予定

判決骨子

・2021年の衆院選で「1票の格差」は最大2.08倍に及び、憲法が求める投票価値の平等に反する状態(違憲状態)だった。

・17年の前回選より格差が拡大しており、前回選を「合憲」とした最高裁判決には抵触しない。

・国会が今回の衆院選までに違憲状態を認識できたと認めるのは困難。選挙までに区割りが改定されなかったことが国会の裁量権の限界を超えるとはいえず、違憲ではない。

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