日本大学の付属病院の建て替え工事をめぐる背任事件で、日大理事の井ノ口忠男容疑者(64)=背任容疑で逮捕=が、設計業務を受注した東京都内の設計会社に対し、日大側が許容できる上限額を漏らし、高額の資金流出が可能となるよう画策した疑いがあることが9日、関係者への取材で分かった。井ノ口容疑者の指示を受けた都内の設計会社は、競合他社よりも大幅に高い金額を日大側に提案したとされ、東京地検特捜部は、受注工作の詳しい過程を調べている。
関係者によると、医学部付属板橋病院(東京都板橋区)の建て替え工事の設計業者を決める選定は昨年、4社が参加して行われ、都内の設計会社は約26億円での設計を提案した。評価点は1位でなかったが、井ノ口容疑者らが評価点を水増しして改竄(かいざん)したため、最終的に選定されたとされる。
残る3社のうち1社は17億円超、1社は16億円前後で設計を提案するなど、いずれも都内の設計会社より10億円前後低く、金額面では都内の設計会社が突出して高かった。
都内の設計会社は当初、20億円前後での提案を想定していたが、井ノ口容疑者の指示を受けて、約26億円に修正。約26億円が日大側が許容できる上限に近い金額だったとされ、設計業者に選ばれた後、金額交渉が行われ、約24億円で日大と契約した。
板橋病院の設計業務の選定過程で採用されたのは、金額やデザインなどを総合的に評価して業者を選定する「プロポーザル方式」。最低額を提示した業者が受注できるとは限らないが、発注元が想定する金額を大きく上回れば、評価に影響するとされる。
低額で受注した場合は、外部への流出分を捻出できないため、井ノ口容疑者が日大側の業者選定に関する情報を都内の設計会社に伝え、他社よりも高額で受注させることを画策した可能性がある。
特捜部の発表などによれば、井ノ口容疑者らは、契約締結後の昨年5月ごろ、都内の設計会社に対し、設計業務の着手金約7億3千万円のうち2億2千万円を、大阪市の医療法人グループ「錦秀会」前理事長、籔本雅巳容疑者(61)=同容疑で逮捕=が保有する都内のコンサルタント会社に送金するよう指示。設計会社側は同8月にコンサル会社に実際に2億2千万円を送金し、日大側に損害を与えたとされる。
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