【シンガポール=森浩】アジアなどで新型コロナウイルスに対する中国製ワクチンの効果に疑念が広がっている。接種した医療従事者らが新たに新型コロナに感染し、死亡する例も報告された。欧米製との「混合接種」に踏み切る国も出ており、ワクチン提供を通じて影響力向上を狙った中国の「ワクチン外交」が揺らぐ可能性がある。
タイ保健省は12日、中国製薬大手・科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)製ワクチンの1回目の接種を終えた国民について、2回目は英アストラゼネカ製とする方針を明らかにした。接種が完了した医療従事者には「3回目」として、アストラ製や米ファイザー製を追加で接種させる。タイには日本がアストラ製を無償提供した。
タイでは2月ごろから医療従事者を中心にシノバック製が先行的に普及。だが、接種が完了した医療従事者約67万人のうち、少なくとも618人が新型コロナに感染。1人が死亡し、1人が重体となった。
大半は感染力が強いインド型変異株(デルタ株)の患者とみられ、専門家らからシノバック製の効果に疑念の声が上がった。保健省は2つのワクチンの併用で「デルタ株に対する免疫力が高まる」と説明している。
事態がより深刻なのはインドネシアだ。民間調査機関によると、6月以降だけで医療従事者131人が死亡したが、大半がシノバック製を接種済みだったという。政府は今月9日、シノバック製の接種が完了した医療従事者に米モデルナ製のワクチンを追加接種させると発表した。インドネシアはデルタ株の流行が続いており、14日の1日当たりの新規感染者は約5万4000人で過去最多を更新。追加接種によって拡大を食い止めたい考えだ。
両国とも当初、欧米製ワクチンの調達が難しかったため、中国製を接種計画の中心に据えていた。
デルタ株への有効性など中国製の情報開示が少ないことも不信感の増大に拍車を掛けている。ロイター通信によると、トルコやアラブ首長国連邦(UAE)でも効果に懸念が広がり、中国製を接種した人を対象に欧米製の追加接種を始めた。
ただ、異なるワクチンの使用が身体に及ぼす影響についてのデータはまだ乏しい。世界保健機関(WHO)の専門家は13日、「危険な傾向だ」とし、安全性を見極める必要があると強調している。
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