東京五輪の開催期間中、東京都に緊急事態宣言が出されることになった8日、菅義偉首相や小池百合子知事の記者会見では、五輪を開く意義を尋ねる質問が相次いだ。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、民間イベントの中止も続く中、「なぜ五輪だけ」の質問も飛んだ。菅首相らは、どう答えたのか。(デジタル編集部)
◆「困難に直面する今だからこそ」
菅首相の訴えは、コロナ禍だからこそ開く意義があると強調するものだった。午後7時、会見に臨んだ菅首相は「オリンピック、パラリンピックには世界中の人々の心を1つにする力がある。大きな困難に直面する今だからこそ、人類の努力と英知で難局を乗り越えていけることを東京から発信したい」と力を込めた。
小池知事も午後10時40分からの会見の冒頭で「スポーツの力で、世界に向けて、勇気や団結、連帯を示す機会となる」と歩調を合わせた。緊急事態宣言下での開催意義をあらためて尋ねた質問には「スポーツの力ということで励みになり、また、オリンピックという大会が1つの変化のきっかけになることを期待しています」などと答えた。
◆民間では相次ぐ中止
しかし、民間では感染防止のため祭りや運動会の中止が続く。8月に茨城県で開催予定だった国内最大級の野外音楽イベント「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」も、地元医師会からの「観客の会場外での行動を含む感染防止対策に万全を」などの要請を受け、中止が発表された。
菅首相の会見では、記者が「なぜ五輪だけは許されるのか。率直な疑問にどう答えるか」と尋ねた。菅首相は「開催制限は、五輪も実は同様の取り扱い」と答えて緊急事態宣言下での午後9時以降の無観客要請を例示し、「ご理解いただきたい」と求めた。
ただ、この答えはちぐはぐだ。ロック・イン・ジャパンの公式サイトによると、終演予定は午後7時55分。茨城県には緊急事態宣言もまん延防止等重点措置も出ていない。中止決定は、政府の要請を超える厳しい判断だ。総合プロデューサーの渋谷陽一さんは、サイトに載せたコメントで、感染対策の判断基準の曖昧さへの苦悩をつづり、会場外での万全な対策は「不可能です」と書いた。
◆橋本会長、人流対策「まだやれることある」
会場外の人流対策は、五輪でも医療関係の専門家らが強く求めるポイントだ。
組織委は8日深夜から9日未明にかけた記者会見で、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県の会場を無観客とすると発表した。人流の抑制効果は期待されるが、会見では無観客の会場でも国際オリンピック委員会(IOC)関係者らは入場できることも明かされた。橋本聖子会長は、人流対策で「まだまだやれることがある」と言及。実効性のある対策の姿は、まだはっきりしていない。
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