東京・池袋で2019年4月、乗用車が暴走し母子2人が死亡、通行人ら9人が重軽傷を負った事故で、自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致死傷)に問われた旧通産省工業技術院元院長・飯塚幸三被告(90)の公判が15日、東京地裁(下津健司裁判長)であった。検察側は論告で「被告は不合理な弁解に終始し、遺族らに絶望を与えている」と述べ、禁錮7年を求刑。弁護側は無罪を求めて結審した。判決は9月2日。
過失運転致死傷罪の法定刑は7年以下の懲役や禁錮など。検察側の求刑は、禁錮刑としては最も重い。
検察側はこれまでの公判で、暴走の原因を「被告がブレーキとアクセルを踏み間違えた」と主張。被告と弁護側は踏み間違えを否定し、「走行中の車に異常が生じた」と反論してきた。
論告で検察側は、事故後の車両解析などに基づき、〈1〉ブレーキやアクセルに異常はなかった〈2〉アクセルが最大まで踏み込まれていた――などと指摘。ブレーキランプの点灯を否定する目撃証言も挙げ、「被告の弁解は根拠のない思い込みだ」と批判した。
さらに、被告が判断能力などの衰えを認識しながら運転を続けていたとし、「高齢であることを有利な事情として過度に考慮する必要はなく、厳罰で臨むべきだ」と述べた。
一方、弁護側は最終弁論で改めて「車の異常で加速し続けた可能性が否定できない」と主張。被告は最終意見陳述で「踏み間違えた記憶は全くない」と強調したものの、「結果論だが、もう少し早く運転をやめておけば良かった。本当に申し訳なく思っている」とも語った。
起訴状では、被告は19年4月19日昼、豊島区東池袋の都道で車を時速約96キロで暴走させ、主婦の松永真菜さん(当時31歳)と長女の
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15日は論告に先立ち、遺族が意見陳述した。真菜さんの夫の拓也さん(34)はおえつをこらえながら、「2人の穏やかな人柄を思うと、本当は被告を憎みたくはない」と心境を吐露し、「この2年間、被告に心を踏みにじられ続けてきた。重い実刑判決を望む」と訴えた。
拓也さんは閉廷後の記者会見で、この日の陳述に向け、昨年末から、仕事を終えて帰宅した後、深夜までパソコンに向かっていたことを明かした。陳述書はA4判11ページに及び、真菜さんとの出会いや莉子ちゃんの成長ぶり、家族の将来の夢も書き込んだ。拓也さんは「1行書いては涙が出てきて書けなくなり、パソコンを開いては閉じる日が続いた」と声を詰まらせた。
「無罪主張が遺族の苦しみにつながっている」。そう伝えたいと考えていたが、被告は過失を認めないままだった。拓也さんは落胆した様子で、「全身全霊で臨んだが、心を変えることができなかった」と語った。
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