見えてきた「次の形」
6月7日深夜(米・太平洋時間の同日午前10時)から、アップルの年次開発者会議「WWDC」が開催されている。基調講演で発表された今年の方針から、アップルが目指す「次の形」が見えてきた。早速、解説していこう。 最速実機レビュー!新iMac&iPad Proが示すアップルの力 新製品の発表がなかったことで落胆した、という人もいるようだが、もともとWWDCは「開発者会議」であり、ハードウエアの新発表があることのほうが珍しい。基本的には、秋に公開される「新OS」の機能と、それにともなう開発環境について、開発者への周知を進めるためのイベントととらえたほうがいい。 したがって、今回もMacからiPhone、Apple Watchまで、各機器に対する新OSの新たな機能を中心に発表された。その方向性を一言で示すなら、「デバイス内処理とプライバシー」だ。
機能強化された「FaceTime」
アップルは自社の製品で、共通のOS基盤とネットワークサービスを用いている。 iPhoneならiPhone、MacならMacと、「OSそのもの」はユーザーインターフェースの最適化を図って「別の製品」としているが、その基盤技術は同じだ。結果として、「各OSの新機能」として発表されるものも、他のデバイスでも使える機能を備えている場合が少なくない。 個々のユーザーにしてみれば、「どのデバイスから使う機会が多いか」という話に近い、と考えていいかもしれない。 そういう意味では、シェアの関係から多くの人に最も影響があるiPhoneの最新OSである「iOS 15」の機能として紹介されたものも、iOSだけに限らない要素を備えている。 iOS 15の新機能として基調講演で最初に説明されたのが、アップルのビデオ通話サービスである「FaceTime」の強化だ。実際には、これもiPhoneだけでなく、iPadからMac、さらにはApple TVと、多くのアップル製品に共通して使える機能だ。
コロナ対応したコミュニケーション強化策
過去1年以上に及ぶコロナ禍で、ビデオ通話の必要性が激増しているが、ことビデオ会議向けとしては、アップルはZoomなどの新興サービスに押されている。FaceTimeは純然たる会議向けとはいえない部分があるが、友人や家族とのあいだでのビデオ通話には向いている側面がある。今回は、その「カジュアルな会話」の点をより強化してきた。 その1つが、「空間オーディオ対応」だ。 空間オーディオとは、音声・音響を立体的に感じさせる技術のこと。「ビデオ通話でどこに必要性が?」と疑問に感じる人も多いと思うが、会話そのものを立体的にするわけではない。画面上の、「各話者が表示されている位置」から音が聞こえてくるかたちに近づけることで、よりその場で会話している雰囲気を再現するのだ。 FaceTimeはもともと、通話時の「音の遅延」が小さく、音質が良いという特徴を備えている。一般的には、Zoomの半分程度しか相手の声が遅れて聞こえないため、自然な通話がしやすい傾向にあった。そこに「話す位置」という情報を加えることで、「リアルに会って話す際の会話」の状態へとさらに近づけよう……、としているわけだ。 一方、FaceTimeの問題点は、「アップル製品どうしでしか使えない」点にあった。Androidスマホを使っている人やWindowsを使っている人とは通話できないため、FaceTimeはふだんあまり使用しないという人も多かったはずだ。 今回のアップデートでは、その点にも改善が加えられた。AndroidスマホやWindowsのユーザーでも、ウェブブラウザーを経由することでFaceTimeによる通話が可能になったのだ。ソフトのインストールは不要なので、「友人からの通話を受ける」だけといった場合でも、他のプラットフォームから問題なくおこなえるようになった。 ビデオ通話の重要性が見直された今、自社がもつFaceTimeを改善して力を入れるという方針は、大いに納得できる点だ。 そして、FaceTimeを活用したさらなる新機能が用意されている。
からの記事と詳細 ( 「WWDC詳細」速報!アップル最新OS「進化の方向性」を読み解く(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース )
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