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Thursday, June 10, 2021

大規模接種の予約埋まらず、計16万人分の空き…対象地域を全国に拡大へ - 読売新聞

 自衛隊による新型コロナウイルスワクチンの高齢者向け大規模接種で、来週以降の予約が進んでいない。21万人の枠に対し、10日午前の段階で、予約者は約4万8000人と、約2割にとどまる。多くの人に会場を活用してもらい、国内の接種スピードを上げるために、防衛省は、接種対象者の居住エリアを、現在の7都府県から全国に拡大する方針だ。(渡辺星太)

■焦り

 「想定したよりも、予約が入ってこない」。大規模接種を指揮する統合幕僚監部の家護谷昌徳参事官は、焦りを口にする。

 先月スタートした自衛隊の大規模接種は、米モデルナ製のワクチンを使い、東京会場(大手町合同庁舎3号館)と、大阪会場(大阪府立国際会議場)で実施されている。東京会場では1日1万人、大阪会場では同5000人の接種体制を整えているが、6月10日午前10時現在、来週(14~20日)の予約率は東京で29・2%、大阪で53・9%。再来週(21~27日)分も合わせると、両会場で16万2010人分の空きがある。

 予約はインターネットのみで受け付け、毎週月曜日に翌週以降の予約ができる。当初は両会場とも受け付け開始から2日以内に予約枠が埋まっていた。だが、先週から予約の動きが鈍化。特に東京会場が低調で、来週月曜日(6月14日)は1日で4861人分の予約枠が空いている状況だ。

■「接種券遅い」

 なぜ、予約が進まないのか。「ネット予約は難しい」といった声のほか、都心にある大規模会場まで電車を乗り継いで訪れた高齢者からは「遠かった」という声も。さらに、「そもそも自治体の接種券の配布が遅い」という指摘もある。

 現在、自衛隊による大規模接種は、東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、京都、兵庫の計7都府県に住む65歳以上で、自治体から接種券を受け取った人を対象に予約を受け付けている。

 国民一人ひとりのワクチン接種状況は、接種券に記された情報を読み込んで国の「ワクチン接種記録システム(VRS)」に登録される。券なしの接種は登録作業が煩雑になり、混乱を招く可能性があるため、自衛隊の接種会場では、券なしの接種は認めていない。

 ただ、9日午前、神奈川県藤沢市から東京会場を訪れた男性(70)によると、10日ほど前に予約しようとした際にはまだ接種券が手元に届いていなかった。同市の70~71歳への接種券発送予定日は6月8日だったためだ。

 男性は自ら市役所に連絡して自分の接種券番号を問い合わせた上で予約し、その後、自衛隊会場で予約が取れたことを市側に伝えて、市から個別に接種券を送ってもらったという。

 男性は東京五輪・パラリンピックに大会ボランティアとして参加する予定で、「活動に支障が出ないよう、早く接種を終えたかった」と安堵あんどしつつも、「接種券の配布が遅すぎる」と話していた。

■「64歳以下」も検討

 東京、大阪両会場で1日に計1万5000人への接種を実現するために、自衛隊からは医官・看護官ら計280人、後方支援要員計160人が配置され、民間看護師200人の派遣も受けている。

 なかなか予約が埋まらない状況に、防衛省は、接種対象者の居住地域を全国に拡大するほか、ネットだけでなく電話での予約受け付けもできるようにする。対象者を「64歳以下」に広げることも検討する。

 防衛省幹部は「早く手を打たないと、せっかく整えた接種能力が無駄になってしまう」と頭を抱え、「今のまま予約が入らないようなら、災害派遣に携わる自衛隊員への接種などで埋めるしかない」と話した。

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