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Sunday, February 7, 2021

武漢で警鐘鳴らした医師の追悼、当局が封じ込め「取材受けるな」 - 読売新聞

 【武漢(中国湖北省)=南部さやか、北京=吉田健一】中国当局の公表前に新型コロナウイルスの感染拡大に警鐘を鳴らした武漢市の李文亮リーウェンリャン医師(当時34歳)が、自身も感染死して7日で1年となった。当局は初期対応の遅れへの批判の再燃を警戒し、李氏追悼の動きを力で封じた。

 李氏が勤務していた病院周辺では7日未明、3台の警察車両が警戒にあたり、出入り口付近は「補修」と記した柵で封鎖されていた。柵は数日前に突然設置されたものだ。病院の周囲の木や外壁に手向けられた菊の花束などは7日朝までにすべて消えた。当局が撤去したとみられる。

 デマを流したとして李氏を処分した当局には当時、批判が噴出した。当局は処分を取り消し、献身的な行為をした国民に贈る「烈士」の称号を李氏に与えた。しかしその烈士の墓地でも7日、中に入ろうとする人を警官が制止していた。

 武漢の人権活動家らは、国内外約100人からの寄付で李氏の銅像を作った。だが当局の圧力で、設置場所を決められない状況が続く。北京でも1月末、李氏追悼の展示を準備していた芸術家・王鵬氏のアトリエが、「違法建築」を理由に当局に取り壊された。王氏は「展示は認めない。国家のイメージに泥を塗るな」と警告を受けていたという。

 李氏は入院中、中国誌の取材に「健全な社会は一つの声で占められるべきではない」と多様な言論の重要性を訴えていた。だが当局はその声に耳を貸すことなく、習近平シージンピン政権の指導で感染を封じ込めたとの宣伝で国内を一色に染めようとしている。李氏の同僚で感染者の治療にあたった女性医師は、本紙の取材を断った際、「外国メディアの取材は受けるなと当局に警告された」と理由を明かした。

 ◆李文亮医師=武漢市中心医院の眼科医。2019年12月30日、SNSに「7人がSARS(重症急性呼吸器症候群)と診断され、隔離されている」と投稿した。市政府は翌日、原因不明の肺炎患者の確認を発表。李氏は20年1月3日、デマを広げたとして警察の訓戒処分を受けた。同2月1日、新型コロナ感染による肺炎になったと明らかにし、7日未明に死去した。

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