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Wednesday, October 7, 2020

学術会議の大西元会長、首相官邸の介入は「2016年の補充人事から」と証言 - 毎日新聞 - 毎日新聞

インタビューに答える大西隆・日本学術会議元会長=東京都千代田区で2020年10月7日、竹内紀臣撮影

 日本学術会議が推薦した会員候補6人を菅義偉首相が任命しなかった問題で、2011~17年に学術会議会長を務めた大西隆・東京大名誉教授(72)=都市工学=は7日、毎日新聞のインタビューに応じ、16年の補充人事から首相官邸による「人事介入」が始まったと証言した。この時から官邸側の求めに応じて、会員の補充や改選に伴い推薦する候補者名を事前に説明するようになったという。

官房副長官が多めの候補者報告を要求

 学術会議の会員任命を巡っては、16年の補充人事で学術会議が推薦候補として事前報告した2ポストの差し替えを官邸が要求。会員の半数の105人を改選した17年にも、学術会議の改選数を上回る候補者名簿を官邸に事前に提出したことが明らかになっている。6人が任命されなかった20年の改選では、候補者を事前報告しなかったとされる。

 大西氏によると、16年の補充人事より前は、選考委員会が推薦候補を選び、幹事会で決定した後、全員出席の総会で最終承認の手続きを経て、首相に推薦していた。しかし、14年10月以降のある時点で、官邸側から「最終決定する前に候補者を説明してほしい」と要求されたという。

 学術会議では16年夏、会員が70歳の定年を迎えて三つのポストが空いた。会議は官邸の要求に沿い、1ポストにつき各2人計6人を報告した。ところが官邸は、2ポストについて優先順位の1位と2位の差し替えを要求。うち1ポストは理工学系で、理由の説明はなかったという。会議側は応じず、補充を断念した。

首相公邸(左)と首相官邸=東京都千代田区で2019年5月1日午前10時20分、川田雅浩撮影

 さらに16年12月、大西氏は官邸で官房副長官と面会し、17年10月の会員の半数改選について協議した。官房副長官は総会承認前の選考状況の説明と、改選数より多めに候補者を報告することを求め、大西氏は同意したという。3人いる官房副長官のだれだったかは明言しなかった。

 選考委員会が選考途中の17年6月、大西氏は再び官邸を訪れ、105人と別に数人を加えた110人超の名簿を官房副長官に提示した。その後、官邸側から異論は出ず、学術会議の推薦した通りの105人が安倍晋三首相(当時)から任命されたという。

 大西氏は官邸側の要求に応じた理由について、14年の内閣人事局発足以降、官邸が人事権限を行使する圧力が強まったことを挙げ、「任命権者の首相が説明を求めているのに、それを断ることはできない。任命権者に選考過程を説明することはあってもよいと考えた」と説明。一方、今回の改選で6人の任命が拒否されたことについては「理由を明かさず任命しなかったのは問題で遺憾だ。政治的活動が拒否の理由なら学問の自由にも抵触する」と批判した。【岩崎歩、池田知広、柳楽未来】

「内閣人事局ができて省庁幹部も官邸がチェックする一環だと思った」

大西隆・日本学術会議元会長=東京都千代田区で2020年10月7日、竹内紀臣撮影

日本学術会議が推薦した新会員候補6人の任命を菅義偉首相が拒否した問題は、2016年の補充人事に端を発していたことが明らかになった。第2次安倍政権時に「学者の国会」のトップとして官邸との人事交渉を一手に担った大西隆・元会長のインタビューからは、官邸主導を掲げる政権の介入により、政府方針にも異論を辞さなかった学術会議の高い独立性が侵食されていく一端が浮かび上がった。

 16年夏、学術会議の担当者は官邸に出向いた。欠員となった会員の補充人事の「案」を説明するためだ。従来は学術会議で選考した新会員候補を推薦し、その通りに首相が任命していた。だがこの時官邸から求められたのは、正式に推薦する前の段階で説明することだった。

 補充が必要だったポストは、人文・社会科学系の1人と理工学系の2人。説明文書には学術会議が推す各ポストの「1番」候補計3人に加え、「2番」候補も1人ずつ挙げていた。大西氏によると、官邸側は1番候補のうち2人に難色を示し、2番候補への差し替えを求めた。理由は示されなかった。結局、3人は欠員のままに。「(14年に)内閣人事局ができて、省庁幹部も官邸がチェックするようになった一環だと思った」。大西氏はそう振り返る。

「官邸に納得してもらえるなら、いくらでも事前に説明しようと思った」

 「最後だけじゃなく、途中でも説明してほしい」。16年末、今度は大西氏自身が官邸を訪れ、官房副長官からそう求められた。学術会議は、会員の半数(105人)が交代する3年に1回の改選期を17年10月に控えていた。候補推薦の作業は年明けから始まる。「16年の補欠人事は止まってしまった。半数を改選する今回は止めるわけにいかず、絶対に通さないといけない」。そう考えた大西氏は求めに応じ、選考途中での説明と、改選数より多めに候補者を伝えることに同意したという。

 17年夏、大西氏は選考途中の名簿を持って官邸を再訪した。名簿には推薦候補の105人の氏名と、その下に1行空けて別の数人の名を記した。このときは官邸側は難色を示さず、105人がそのまま新会員に選ばれたという。「官邸に納得してもらえるなら、いくらでも事前に説明しようと思った。会員を任命する首相に説明するのは、おかしくない」(大西氏)

日本学術会議

 しかし、学術会議内には反発が広がった。選考途中で候補者を示すことは人事介入を招き、組織運営の独立性を脅かすことにつながるからだ。ある元会議幹部はこの時のやり取りが「(6人が任命されなかった)今回の人事介入のきっかけを作った」と批判する。

 一方で「要求を受け入れなかったらどうなるか分からない」との懸念もあった。別の元幹部は「前例になってしまったのは事実だが、官邸からにらまれる中で当時はやむを得ない判断だったのかもしれない」とこぼした。【岩崎歩、池田知広、柳楽未来】

日本学術会議の会員任命を巡る経緯(肩書は当時)

1983年 日本学術会議法を改正。会員選考方法が選挙制から学術団体による推薦制に変更

2004年 推薦する主体を学術会議に変更する法改正

2011年 大西隆氏が学術会議会長に就任

2012年 第2次安倍政権発足

2014年 内閣人事局が発足

2014年 官邸が学術会議に推薦候補の事前報告を要求

インタビューに答える大西隆・日本学術会議元会長=東京都千代田区で2020年10月7日、竹内紀臣撮影

2016年 学術会議が欠員補充する3ポストの推薦候補案を官邸に提出。官邸側は2ポストの差し替えを要求し、学術会議は3ポストの補充を断念

2016年 大西会長と官房副長官が、17年秋の会員改選について協議。官房副長官の求めに応じ、学術会議選考委員会が選んだ候補者に数人多く加えて事前報告することで合意

2017年 大西会長は新会員候補105人に数人を加えた110人超の名簿を官邸に事前説明。安倍晋三首相は学術会議が上位に挙げた105人全員を任命

2017年 山極寿一氏が学術会議会長に就任

2018年 会員の補充人事を巡り、内閣府が日本学術会議法の解釈について内閣法制局に照会

2020年 会員の半数改選に伴い、山極会長が新会員候補105人を政府に推薦

2020年 内閣府が再び法制局に照会

2020年 菅政権発足

菅義偉首相=滝川大貴撮影

2020年 菅義偉首相が推薦候補のうち6人の任命を拒否。99人を任命

2020年 梶田隆章氏が学術会議会長に就任

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October 07, 2020 at 04:32AM
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