複雑になりがちな世の中の注目ニュースを、サダタロー氏と編集担当K氏の掛け合いを中心にマンガでゆるく&分かりやすく解説していく本連載。今回のテーマは「5G」。3月後半に、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの携帯キャリア3社が次世代通信規格「5G」の商用サービスを始めました。しかし、そもそも「5Gで何がどう変わるのか」「自分にメリットはあるのか」ということがよく分からないという声もありそうです。ITオンチを自称する漫画家サダタロー氏が、5Gをゆるく学びます。
なぜ「5G」は速いのか
マンガの中では、5Gで高速通信を実現できる理由として、「高い周波数帯の利用」と「複数のアンテナの利用」を挙げました。
周波数が高い方が多くの情報量を載せられますが、実は5Gが目指す速度である数十Gbpsの通信には、今も4G(LTE)で利用している数百MHzの周波数帯で十分ともいわれています。実際に、中国などは850MHzなど、4Gと同程度の周波数帯を5Gに割り当てています。
ではなぜ日本では4Gよりも高い周波数帯を5Gに割り当てているかというと、低い周波数帯については4Gなど既存のサービスに割り当てていて、5Gに割り当てる余裕がないから。また、高い周波数帯では通信に広い帯域を割り当てられるメリットもあり、同時多接続の実現にも一役買っています。
もう一つの「複数のアンテナの利用」は「Massive MIMO」(Massive Multiple-Input and Multiple-Output)という技術のこと。電波は波の性質を持つため、同時刻に重ねることができます(海面を見ているとたくさんの波が重なっている様子が観察できますよね)。送受信の双方が複数のアンテナを持ち、それぞれの波で情報を伝えることで効率的に情報を伝達しようというのがこの技術です。MIMOという技術自体は4GやWi-Fiでも用いられていますが、5Gではこれらよりさらにアンテナを増やすなどして効率性を上げようとしています。
マンガ内では説明しませんでしたが、5Gには「低遅延」という特徴もあります。これは通信プロトコルを見直して、送信するデータの最小単位(TTI:Transmission Time Interval)を小さくし、さらに送る間隔を短くすることなどで実現しています。また、端末と基地局間の改善とは別の取り組みとして、低遅延で応答してほしいサーバ機能を基地局近くまで持ってくることで通信経路を短縮する「モバイル・エッジ・コンピューティング」という技術も、自動運転車のリアルタイム応答などに有望視されています。
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