「だいぶ抑えて申し上げているけど、もっと腹が立っております」。愛知県の大村秀章知事は8日の記者会見で、「極めて遺憾」「大変残念」「釈然としない」などと何度も言葉を変えながら、静岡県の川勝平太知事への憤りをあらわにした。
怒りの原因は、辞職する意向を示した川勝知事が3日の記者会見で、JR東海がリニア中央新幹線の2027年開業を断念したことを「大きな区切り」とし、辞職決断の大きな理由に挙げたことだ。
これについて、大村知事は「27年開業を前提として取り組んできた沿線自治体、市民、経済界の思い、期待とは全く異なる」と批判。「いかにも27年開業を断念させたことがひと区切りだ、自分の成果だ、という風に受け取られる発言だ」と強い不信感を示した。
静岡県は22年6月29日付で、大村知事が会長を務める「リニア中央新幹線建設促進期成同盟会」に対し、「品川―名古屋間の27年開業、大阪までの全線開業37年を目指すとの立場を共有します」との文書を提出している。期成同盟会は1979年に発足し、沿線10都府県が加盟しているが、駅がない静岡県は40年以上遅れた22年に加盟。その際に、同県はくらし・環境部長と交通基盤部長との連名で早期開業に賛同する文書を提出していた。
大村知事は「期成同盟会の趣旨に賛同していただけますね、と文書で確認している。にも関わらず、ひと仕事済んだという感じで言われることは、この文書の趣旨と異なる」と指摘。「(川勝知事の思いは)期成同盟会のメンバーの思いとは全く違ったのか。我々をたばかった(だました)のか」と疑念を呈した。
会見の最後には、「だいぶ抑えて申し上げておりますけども、もっと腹が立っております」と、内なる強い怒りを表した。
期成同盟会の総会は毎年5月末から6月初めに開かれており、大村知事は総会に向けての会員都府県などとの協議で、こうした不信感や憤慨を伝える考えであることも明らかにした。【荒川基従】
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