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Thursday, January 11, 2024

対米重視か対中融和か-13日の台湾総統選、民主主義の試金石に - ブルームバーグ

台湾の有権者は13日投開票の総統選で、米国との関係を重視する民主的な政治体制を堅持するのか、中国との関係を深めていくのかを選択する。台湾の今後を決する選挙は、中台関係のみならず世界にとっても大きな意味を持つ。

  任期満了で今年退任する蔡英文総統の後継を目指し三つどもえの争いとなっている今回の総統選は、今年最初の民主主義の試金石となる。

  与党の民主進歩党(民進党)からは頼清徳副総統が総統選に出馬。国民党の侯友宜氏、台湾民衆党の柯文哲氏が野党候補として挑む構図だ。

台湾総統選は世界的に注目を集めている

Source: Bloomberg

  民進党は米国との関係強化を目指しており、中国はこれに強く反発。国民党と民衆党は中国との関係改善を支持している。総統選のポイントは以下の通りだ。

1.候補者  

  医師で元行政院長(首相)の頼氏(64)は民進党が8年前に奪回した政権の継続を目指す。同氏は過去に自らを「台湾独立の工作者」と表現したことがあるが、現在は中国にとって越えてならない一線を越えて独立を宣言する必要はないとし、台湾はすでに事実上の主権国家だと述べている。

Taiwan's Vice President Lai Ching-te News Conference

台北で記者会見に臨む頼清徳氏(2024年1月9日)

Photographer: Lam Yik Fei/Bloomberg

  民進党は対等な立場での両岸協議を排除しない立場だが、中国は台湾が中国の一部だとの主張を認めるよう求めている。

  民進党は中国への抵抗感が強いとみられる強固な支持基盤を有する。一方、政権交代を望む有権者が多い中で、侯、柯両氏は中国寄りの有権者の票を二分している。

  現職の新北市長で元警政署署長(警察庁長官)の侯氏(66)はいわゆる「1992年コンセンサス」に回帰することで中台関係を再構築する考えを示してきた。堅実な行政官として尊敬されており、国民党は特に中高年の有権者の間で強い支持を得ている。

New Taipei City Mayor Hou Yu-ih Holds Campaign Rally Ahead of Presidential Election

台湾・基隆の選挙イベントに到着した侯友宜氏(2024年1月4日)

Photographer: Lam Yik Fei/Bloomberg

  しかし、国民党の長期独裁時の強権発動や、中国との関係緊密化を目指す政策に対する有権者の不信感は強い。侯氏は独立に反対する一方で、中国の「一国二制度」も拒否するとしており、抑止力と対話によってのみ紛争リスクを減らし民主主義を守ることができると主張する。

Taiwan Third-party Presidential Candidate Ko Wen-je

前台北市長の柯文哲氏(2023年9月6日)

Photographer: An Rong Xu/Bloomberg

  元外科医で前台北市長の柯氏(64)は、国民党との共闘をちらつかせながらも、既存の2政党に代わる選択肢を提示している。相互理解と尊重、協力を通じて中国との交流は達成可能だと柯氏は主張。同氏が数年前に発した「海峡の両岸は一つの家族だ」という言葉を覚えている人は多く、今でも時折、統一論者に引用されている。

  柯氏は無所属で台北市長に2回当選しており、特に都市部に住む高学歴の若者に人気が高い。また低賃金や住宅取得などの問題で強力なキャンペーンを展開している。

2.どのようなリスクがあるか

  選挙が無事に行われ、結果に関する異議申し立てがなければ問題ないが、接戦であったり、やり直しを求める訴訟を起こされたりする場合がリスクとなる。

  2004年の総統選で国民党候補が僅差で敗れた後、抗議活動が数カ月続いた。また民進党の頼氏が勝利しても立法委員選(国会議員選)で同党が過半数議席を失った場合、その後の4年間は重要施策を巡り厳しい闘いを強いられる可能性がある。

  米国は好ましい候補はいないと繰り返し表明してきたが、民進党候補が勝利すれば台湾の親欧米政策と、中国との経済的なつながりを切り離す「デカップリング」が続くことになる。しかし中国からの圧力は強まり得る。

  中国の習近平国家主席は新年のメッセージで台湾について、「祖国統一は歴史的必然」だと述べた。また中国政府が台湾の世論調査に影響を及ぼそうとしているのではないかと懸念されている。

3.中国問題以外の争点

  主要な争点は対中関係だが、多くの有権者は根強いインフレや住宅価格上昇、予想を下回る賃金の伸びに不満を募らせている。台湾政府は23年の経済成長が09年の世界金融危機以来の低い伸びになったとみている。また住宅の高騰も深刻で、台北の住宅価格は年収16年分と、世界で有数の高さだ。

  電力網がぜい弱で停電が起きやすい台湾では、エネルギー政策を巡って意見が分かれている。民進党は原子力発電に反対しているが、野党2党は必要だと主張している。

4. 市場の反応は

  人工知能(AI)ブームが追い風となり、ハイテク銘柄中心の台湾株式市場では株価指数が過去最高値付近で推移している。中国との関係緊密化を促す選挙結果となればセンチメントは改善されるかもしれないが、台湾の柱である半導体産業に対し米国が監視を強める可能性もある。

  台湾の有権者は政権交代や対中関係の変化に慣れているが、外国人投資家はより警戒する傾向にある。23年10-12月(第4四半期)に5%上昇した台湾ドルは今年最初の週、8週間ぶりの下落に転じた。

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5.投開票日の見通し

  投票は現地時間午前8時(日本時間同9時)に始まり午後4時に締め切られる。午後8時ごろには大勢が判明する可能性がある。過半数票に達しなくても得票数が最も多い候補が当選する。僅差であれば04年のように結果に異議を唱える訴訟を提起し得る。

  立法院(議席数113)の現有議席は民進党が62、国民党が37、台湾民衆党が5。

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原題: Taiwan Voters Head to Polls With Ties to US, China in Balance(抜粋)

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