アメリカのロイド・オースティン国防長官が18日、イスラエルを訪れ、パレスチナ自治区ガザ地区への攻撃で民間人の巻き添えを減らすようイスラエルに求めた。同国の軍事行動に対しては、イギリスの議員らも強く批判している。一方、国連の安全保障理事会はこの日、戦闘停止を求める決議案の採決を予定していたが、文言をめぐって関係国が折り合えず、採決は19日に延期された。
オースティン長官はイスラエル・テルアヴィヴで、同国のヨアヴ・ガラント国防相と会談。その後の記者会見で、ガザでの戦争をより「高精度」なものにするようイスラエルに求めたと述べた。
オースティン氏は同時に、イスラム組織ハマスに対する攻撃をアメリカは支持すると改めて表明。イスラエルに武器、車両、弾薬を追加提供するとした。
アメリカはハマスが10月7日にイスラエルを襲撃して以来、同国を一貫して支持している。ただ、ジョー・バイデン大統領に対しては、イスラエルの軍事作戦の抑制を働きかけるべきだとする声が、与党・民主党内からも高まっている。
オースティン氏はこの日の会見で、アメリカが同盟国に対して戦争の「スケジュールや条件を指示」することはないと表明。
一方で、軍事作戦の目的と、「戦場における民間人被害の減らし方」について、ガラント国防相と話し合ったと述べた。
オースティン氏は軍事作戦が始まってから、イスラエルに作戦を抑制し、標的を絞るよう促してきた。しかし、ガザで民間人の死者が増えるにつれ、発言がより率直になっている。
一方、ガラント氏は会見で、イスラエル軍は「ガザでの活動を異なる強度で続ける」と強調。
また、イスラエルは戦争のあと、「いかなる文民的な方法でもガザを支配」しない方針を明らかにした。
イギリスで批判強まる
イギリスでは、イスラエルへの批判が首相や議員らから噴き出している。
リシ・スーナク首相は18日、今回の戦争で「あまりにも多くの市民の命が失われた」とスコットランドで記者団に発言。「この紛争が1日でも長く続くことは誰も望んでいない」と付け加えた。
同時に、イスラエルには自衛の権利があるとも強調。だが、自衛は「人道法に従って」なされなければならないとした。
英政府はこれまで、イスラエルの自衛権を尊重するとして、完全な停戦は求めてこなかった。しかし先週から、ガザでの「持続可能な停戦」の呼びかけを強めている。
こうしたなか、議会外交委員会のアリシア・カーンズ委員長(保守党)はBBCに、イスラエルは「自衛の範囲を超え」ており、道徳的な権威を失ったとの考えを示した。
カーンズ氏は、イスラエルが国際法を破っており、パレスチナ人の間でハマス支持が高まるリスクがあると主張。「爆弾はイデオロギーを消し去らない。忘却から安定した国家がつくられることもない」と述べた。
ベン・ウォレス前国防相も、英紙デイリー・テレグラフへの寄稿でイスラエルの戦術を批判。同国がガザで軍事行動をとる法的根拠が「損なわれつつある」とした。
そして、イスラエル政府に対し、「法的権威とともに道徳的権威を失うという過ちを犯している」と警告した。
ウォレス氏の批判に対しては、イスラエル政府のエイロン・レヴィ報道官が反発。同国の軍事行動より、ハマスを「文字通り殺人の罪から逃れ」させることのほうが、人々を過激化させる可能性が高いとBBCに話した。
一方、閣僚経験者のキット・モルトハウス氏やジョージ・ユースティス氏を含む保守党議員10人は18日、イスラエルの戦略を「均衡性があるものでも標的を絞ったものでもない」と批判し、「即時停戦」を働きかけるよう求める書簡をデイヴィッド・キャメロン外相に送った。
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安保理で決議案採決を延期
国連安保理では18日、ガザでの「緊急かつ持続可能な敵対行為の停止」を求める、アラブ首長国連邦(UAE)提出の決議案を採決する予定だったが、翌日に延期された。
決議案をめぐる外交的な対立が1日中続いたため。アメリカが文言のトーンダウンを求めているとされる。
最新の決議案では、イスラエルとハマスに対し、ガザ地区に陸海空のそれぞれのルートで支援を届けることを認めるよう求めている。
また、すべての人質の即時かつ無条件の解放と、2国家解決への支持を表明している。
こうしたなか、キリスト教カトリック教会の教皇フランシスコは、ガザの教会で17日、母娘がイスラエル軍の銃撃によって殺害されたとし、この攻撃を非難した。
からの記事と詳細 ( 米国防長官、イスラエルに民間人被害減らすよう要望 イギリスでは作戦批判強まる - BBC.com )
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