政府は、東京電力福島第一原発の処理水について、今月下旬にも海洋放出を開始する方向で調整に入った。岸田首相は18日に米国で行われる日米韓首脳会談に出席し、20日に帰国後、西村経済産業相らが参加する関係閣僚会議を開き、具体的な放出時期を最終決定する見通しだ。
複数の政府関係者が明らかにした。政府は、国際原子力機関(IAEA)が放出の妥当性を認める包括報告書を公表したことなどを踏まえ、放出計画への理解が国内外で進むように全力を挙げている。
首相は日米韓首脳会談に合わせ、米国のバイデン大統領、韓国の
日本政府高官は放出時期について、「福島県沖で底引き網漁が始まる9月にずれ込むのは避けたい」と語った。
処理水は、2011年の事故で溶け落ちて固まった核燃料を冷却した後の汚染水を浄化処理し、トリチウム(三重水素)以外の大部分の放射性物質を除去したものだ。現在、原発敷地内の貯蔵タンクで保管されているが、来年前半には満杯になる見通しで、政府は「夏頃」に海洋放出する方針を示している。
東電は放出設備で処理水を大量の海水と混ぜて100倍以上に薄め、トリチウム濃度を国の排出基準の40分の1未満の1リットル当たり1500ベクレル未満に抑える計画だ。IAEAは7月4日、「放出は国際的な安全基準に合致している」とする報告書を首相に提出した。
原子力施設で発生したトリチウムを含む排水の海洋放出は、日本だけでなく、欧米や中国、韓国などでも恒常的に行われている。しかし、中国は「太平洋は日本が核汚染水を垂れ流す下水道ではない」と批判している。政府は科学的根拠に基づき、関係国に海洋放出計画を説明している。
国内では、西村氏らが福島県の漁業関係者らに対し、処理水に含まれるトリチウムの濃度は「人体や環境に影響しない」として理解を求めている。
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