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Sunday, July 16, 2023

鳥インフルで殺処分した死骸、予定地に埋却できず計画変更…325万羽の処理に影響 - 読売新聞オンライン

 高病原性鳥インフルエンザで殺処分した鶏などの死骸を予定地に埋却できず、処理の変更を余儀なくされたケースが昨秋以降、12道県で16件あったことがわかった。地下水など環境への影響が懸念されるなどしたためで、325万羽の処理に影響が生じ、最終的に2か月以上かかった例もあった。処理の遅れは感染拡大のリスクがあり、農林水産省は予定地の試掘を支援するなど対策強化を進める。

 鳥インフルは昨年10月~今年4月、26道県の農場や施設で84件発生。鶏など1771万羽が殺処分の対象となり、件数・殺処分数ともに過去最多だった。

 家畜伝染病予防法は、畜産業者に対し、殺処分した牛や豚、鶏などの死骸について、遅滞なく埋却か焼却するよう規定。そのための土地や施設を事前に確保し、毎年、都道府県に報告するよう求めている。農水省などによると、昨年10月以降に鳥インフルが発生した農場や施設を含め、全国の養鶏場の95%以上が「確保済み」と報告していた。

 読売新聞が5~6月、26道県に対し、殺処分した鶏などの処理状況を尋ねたところ、茨城、埼玉、千葉、香川、福岡、宮崎などで、事前に予定していた土地に死骸を埋められず、急きょ、別の土地に埋却したり、焼却による処理に切り替えたりしていた。

 変更の理由としては、予定地で地下水が出て埋却すると環境への影響が懸念されたり、面積が不足したりしていたほか、近くに民家や河川があって同法の施行規則に反し、自治体による事前の確認や指導が不十分なケースもあった。鹿児島では、埋却後に近くの池が濁って悪臭が発生し、別の土地への埋め直しを決めた。

 処理の変更を余儀なくされた結果、焼却による最終的な処理の完了まで2か月以上を要したり、新たな埋却先の近くで、消毒用石灰が溶け白く濁った水が漏れ出し、住民が不安を訴えたりする事態も起きた。

 死骸の処理を巡っては、2010年に宮崎県で牛の 口蹄疫こうていえき が流行した際、埋却地探しが難航して感染が拡大したことがあった。焼却は、埋却に比べて費用も時間もかかるとされ、現状は埋却のほうが多い。

 こうした状況を踏まえ、農水省は今年度、農場と都道府県が協力して事前に試掘などの調査を行った場合、費用の50%を支援する制度を新たに導入した。埋却予定地の確保を確実に進め、感染拡大の防止策を強化することにしている。

  ◆鳥インフルエンザ= A型インフルエンザウイルスが引き起こす鳥類の疾病。毒性の強さや変異の可能性によって「高病原性」や「低病原性」などに区分される。越冬する渡り鳥が国内にウイルスを運び、野鳥や鶏に感染が広がる。近年、世界的な流行状態にある。

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