停滞する梅雨前線に発達した雨雲が流れ込み、10日は九州北部や中国地方を中心に断続的に激しい雨が降った。福岡、佐賀、大分の各県で線状降水帯が発生し、河川の氾濫が相次いだ。気象庁は10日午前、福岡県と大分県に大雨特別警報を出し、安全確保を求めた。福岡県添田町で住宅に土砂が流れ込み、女性1人が死亡、佐賀県唐津市でも男女3人と連絡が取れなくなっている。
福岡県の地元消防によると、10日午前3時40分ごろ、同県添田町の住宅に土砂が流入し、高齢夫婦が閉じ込められていると119番があった。男女が発見されたが、女性の死亡が確認された。
佐賀県の唐津市消防本部によると、10日午前6時15分ごろ、同市浜玉町平原で「山が崩れた」と119番があった。住宅2棟に土砂が流入し、男性2人、女性1人と連絡が取れていない。
気象庁によると、西日本から東日本の日本海側を中心に11日にかけて大雨となる見通し。同庁は土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒を呼びかけた。大気の状態が非常に不安定で、落雷や竜巻にも注意が必要としている。
大雨特別警報が発表されるのは今年初めて。気象庁の杉本悟史予報課長は10日朝に記者会見し「災害が既に起きている可能性が極めて高く、直ちに身の安全を確保しなければならない状況だ」と述べた。
国土交通省は福岡、大分、佐賀の各県を流れる河川に「氾濫発生情報」を出した。福岡県久留米市で小石原川、大分県中津市で山国川など複数の河川で氾濫が発生した。
独立行政法人水資源機構は10日、福岡県朝倉市にある筑後川水系の寺内ダムで「緊急放流」を始めたと発表した。大雨により貯水しきれなくなったため、流入する水と同じ程度の量を放水する。下流に流れる水量が増えるとして自治体の避難情報に注意するように呼びかけた。
交通や学校への影響も出ている。JR西日本によると、山陽新幹線は10日午前、福岡県内の大雨のため、博多駅―新大阪駅間の上下線の一部列車で一時運転を見合わせた。九州新幹線も一部の区間で一時運転を見合わせた。
福岡市教育委員会は10日、大雨の影響で、児童の安全を確保するため、全市立校228校を臨時休校すると発表した。
9日も九州北部や中国地方を中心に大雨となった。9日夕、増水した山口県周南市の富田川で「人が流された」と110番があった。警察や消防が捜索している。同県下関市では員光川の堤防が決壊し、周辺の農地に水が流れ出しているという。
10日午前9時10分までの24時間降水量は福岡県添田町で418ミリと観測史上最多を記録した。同県久留米市で391ミリ、佐賀県鳥栖市で303ミリ、大分県中津市で280ミリに達した。
11日午前6時までの24時間に予想される雨量は多いところで九州北部(山口県含む)200ミリ、中国100ミリ、東海、北陸、東北80ミリ。その後、12日午前6時までの24時間雨量は東北、北陸50〜100ミリ、東海、中国、九州北部およそ50ミリとなっている。
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