岸田文雄首相が中東歴訪最初の訪問先に選んだサウジアラビアは日本最大の原油調達先だが、最近は中国への傾斜が目立っている。首相は戦略的パートナーと位置付けるサウジとエネルギー分野での協力などを通じて関係を強化し、中国の接近にくさびを打ち込みたい考えだ。
ロシアのウクライナ侵略で原油調達の中東一極集中が進む中、世界最大級の産油国として影響力を持つサウジとの関係は、同国に原油輸入の4割を依存する日本にとって極めて重要だ。サウジは中東における米国最大の同盟国でもある。
だが、近年は中国が急接近している。昨年12月には習近平国家主席が国賓として訪問した。両国は人権弾圧を巡る欧米の批判を念頭に、内政不干渉の原則を守ることで一致した。
さらに今年3月、中国の仲介でサウジとイランが外交関係正常化に合意した。中国はサウジを含むペルシャ湾岸6カ国による湾岸協力会議(GCC)との間でも、日本に先んじて自由貿易協定(FTA)交渉を再開している。
これに対し、日本の首相のサウジ訪問は2020年1月の安倍晋三元首相以来、途絶えていた。
岸田首相との初の対面会談の機会となるはずだった昨年11月のムハンマド皇太子の来日も「サウジ側の日程の都合」(政府関係者)で直前に中止になった。それだけに、3年半の空白を埋める首脳外交の実現は焦眉の問題だった。
サウジは将来的に化石燃料の存在感が低下することを見越し、従来の資源に依存しないための経済改革を進めている。このため、脱炭素社会に向けた技術協力などで日本への期待は大きい。首相が今回の訪問に日本企業などを同行させたのは、新たなビジネスや投資機会の開拓を通じ、経済面でサウジとの関係強化を図る狙いからだ。
ムハンマド氏は37歳と若く、長期にわたり権力を握り続けるとみられる。日本としては首脳会談を通じ、「トップレベルで関係を構築して国際的な連携につなげていく」(外務省幹部)考えだ。(岡田美月)
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