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Thursday, December 15, 2022

陸自性暴力 直接関与の5人を懲戒免職 中隊長らも処分 - 毎日新聞

元陸上自衛官の五ノ井里奈さんが性被害を受けた問題で加害側の隊員らの処分について説明する吉田圭秀・陸上幕僚長=東京都新宿区の防衛省で2022年12月15日午後3時38分、幾島健太郎撮影 拡大
元陸上自衛官の五ノ井里奈さんが性被害を受けた問題で加害側の隊員らの処分について説明する吉田圭秀・陸上幕僚長=東京都新宿区の防衛省で2022年12月15日午後3時38分、幾島健太郎撮影

 陸上自衛隊郡山駐屯地(福島県)に所属していた元1等陸士、五ノ井里奈さん(23)が複数の男性隊員から性暴力を受けた問題で、防衛省は15日、五ノ井さんからの被害申告をほぼ全面的に認め、直接的に関与した20~40代の1等陸曹~3等陸曹の計5人を懲戒免職とした。性暴力を巡り、一度に5人が懲戒免職となるのは極めて異例。

 五ノ井さんから申告があったのに調査しなかった30代の中隊長=1等陸尉=が停職6カ月とされ、懲戒処分の対象は計6人に上った。このほか、五ノ井さんに性的発言をした30代の3等陸尉が訓戒、監督責任を問われた大隊長=2等陸佐=と連隊長=1等陸佐=が注意や口頭注意とされた。

 懲戒免職の5人は、五ノ井さんと同じ部隊の先輩にあたる。うち3人=2曹と3曹=は2021年6月、訓練で張ったテント内で五ノ井さんの胸を触るなどした。訓戒の3尉はこの訓練後、車の中で服を脱ぐよう促す発言をした。

 21年8月には宿舎の部屋で、3曹3人が1曹の指示で五ノ井さんを押し倒し、下半身に触れるなどした。うち1人は五ノ井さんに口止めをしていた。3曹2人は1年弱にわたって日常的に抱きつくなどの行為を繰り返していたという。

 中隊長は21年6月の事案があった後、五ノ井さんの様子がおかしいと部下から報告されたのに、十分な調査をしなかった。さらに8月の事案の後には五ノ井さん本人から申告を受けたのに調査せず、直後に五ノ井さんが任務を離れて実家へ戻った理由について「家庭の事情」とだけ大隊長に報告していた。

 同じ月に五ノ井さんが相談窓口に連絡したのを受け、陸自が内部調査を始めたが、3曹3人は当時は関与を否定。3人の対応を知った2曹は「何も見ていない」と虚偽の証言をした。五ノ井さんは休職を経て、22年6月に退職。動画投稿サイトで被害を訴えた。

 防衛省によると、処分を受けた9人は全員男性で、現時点ではいずれも事実関係を認めている。懲戒免職の5人は「交流の一環でやってしまった。仲間として接する中で距離が近くなりすぎた」などと説明。停職の中隊長は「(被害の)調査の必要性は認識していたが、訓練で忙しかった」と話しているという。

 一方、調査の過程で懲戒免職となった隊員らが、別の女性隊員1人にもセクハラ行為をしていたことが判明した。防衛省は、郡山駐屯地内で男性隊員が女性隊員に対し、体形に関する性的発言などを日常的に繰り返していたとみている。

 陸自トップの吉田圭秀・陸上幕僚長は15日の定例記者会見で「ハラスメントを許さない組織風土を根づかせるため、施策を徹底する」と述べた。五ノ井さんについては「心から申し訳なく思う。仲間だった彼女に悲しくつらい思いをさせたことに強い責任を感じている」と述べた。

 五ノ井さんは15日、自身のツイッターで、関与した隊員について「処分の重さに関係なく、誠意を持って責任をとって頂きたい」と心境を明らかにした。

 また防衛省は、全組織を対象に実施している特別防衛監察で、11月末までに1414件のハラスメント被害の申告があったと明らかにした。8割超にあたる1256件がパワハラ、1割弱の116件がセクハラに関するものだった。本人への聞き取りなどを通じ、裏付けを進める。【内橋寿明、安達恒太郎】

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