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Wednesday, May 18, 2022

習氏がトランプ氏にお願い?「反共」の中国人富豪の「追放」巡り - 毎日新聞 - 毎日新聞

米国のトランプ大統領(当時、左)と中国の習近平国家主席=大阪で2019年6月29日、ロイター 拡大
米国のトランプ大統領(当時、左)と中国の習近平国家主席=大阪で2019年6月29日、ロイター

 米司法省は17日、トランプ前大統領に近い実業家のスティーブ・ウィン氏に対して、外国エージェント登録法に基づいて「中国のエージェント」と登録するよう求める訴えをワシントンの連邦地裁に起こした。司法省は、ウィン氏が2017年に当時大統領だったトランプ氏に対して、中国共産党を批判していた在米中国人富豪の「国外追放を働きかけた」と指摘した。

 司法省の発表はこの富豪の身元を特定していないが、14年に中国から米国に逃れ、中国共産党批判に転じた富豪の郭文貴氏だとみられる。郭氏は共産党幹部の腐敗を暴露し、後に中国で汚職の罪で訴追された。

 司法省によると、中国公安省の孫力軍次官(当時)は17年5月ごろ、米共和党全国委員会の財務担当幹部だったブロイディ氏らに対して、米国に亡命していた中国人富豪の査証(ビザ)の取り消しや国外追放をトランプ氏に働きかけるよう要請した。ブロイディ氏は17年6月ごろ、旧知のウィン氏に「(富豪は)犯罪者で米国に逃亡している。中国側は逮捕したがっている」と述べ、トランプ氏へのロビー活動を手伝うよう依頼。孫氏もウィン氏に電話で協力を要請した。

郭文貴氏=ニューヨークで2018年11月20日、ロイター 拡大
郭文貴氏=ニューヨークで2018年11月20日、ロイター

 ブロイディ氏は「習近平国家主席は(17年4月にトランプ氏の別荘)マララーゴでトランプ大統領と会談した際、(富豪の)中国への送還を求めた。中国側は、中国で拘束されている米国人の帰国や、北朝鮮を巡る新たな支援の用意があるとも伝えている」などとウィン氏に説明していた。

 ウィン氏は17年6月27日にトランプ氏と同席した際、中国側が富豪の国外追放を望んでいることを伝え、トランプ氏の側近に富豪のパスポートの写真も提供した。17年7月には国家安全保障会議(NSC)高官らにも、富豪の国外追放を働きかけた。17年8月にはトランプ氏に電話して状況を確認。トランプ氏は「確認してみる」と答えたという。

 ただ、米政府は富豪のビザ取り消しや国外追放には踏み切らなかった。ウィン氏は10月ごろに「これ以上、協力できることはない」と孫氏に伝え、両者の接触は終わった。司法省は、ウィン氏が中国政府に協力した動機について「中国でのビジネス上の利益を守りたかったためだ」と指摘した。

 司法省は18年5月~22年4月、3回にわたり、ウィン氏に「エージェント」として登録する義務があるとの見解を伝えたが、ウィン氏は拒否したという。

 米国の「外国エージェント登録法」(1938年施行)は、ロビイストを含め、外国政府の利益を代表して米国内で活動する個人や団体に対し、「外国エージェント」としての登録を義務づけている。【ワシントン秋山信一】

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