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Monday, April 18, 2022

「爆発するかも」「もうあかん」 旦過市場火災に北九州市民ぼうぜん - 毎日新聞 - 毎日新聞

夜が明けても白煙が上がり、消火活動が続く旦過市場の火災現場=北九州市小倉北区で2022年4月19日午前8時半、本社ヘリから上入来尚撮影 拡大
夜が明けても白煙が上がり、消火活動が続く旦過市場の火災現場=北九州市小倉北区で2022年4月19日午前8時半、本社ヘリから上入来尚撮影

 100年以上、“市民の台所”として親しまれてきた北九州小倉北区の旦過(たんが)市場が大火に見舞われた。過去にも火災が発生し、防災のため古い木造店舗の密集解消に向けて再整備事業を進めるさなかだった。無残に焼け落ちた市場の一角を、市場関係者や通りかかった市民がぼうぜんと見つめていた。

 「爆発するかもしれないから、早く避難してください」。火災現場近くのラーメン店に勤める女性は、そう消防隊員に促され、店から離れた。

火災現場の旦過市場 拡大
火災現場の旦過市場

 午前2時40~50分ごろに焦げ臭いような異臭に気付いた。店は営業中で、客が数人いた。店の裏手にある飲食店も数軒が営業中で、その関係者が女性のラーメン店に飛び込んできて、「火事が起きた」と言った。女性が外に出ると煙が見え、自身も近くの人に消防への通報を求めた。それからしばらくして消防隊員から避難を呼びかけられた。

 現場では炎がバチバチと音をたてて立ち上り、黒煙が舞い上がった。はしご車からも放水されたが、火の勢いはなかなか収まらず延焼が続いた。女性は「過去にも市場内のスーパーが火事になったが、またこんなことになるとは。その時は店は大丈夫だったのに」。火の手が迫り、消防の放水を受ける店を遠巻きに見つめ肩を落とした。

 消防の懸命の消火活動が続く中、「中の人が大丈夫かだけ教えてほしい」と警察官に詰め寄り、規制線を越えようとしてなだめられる男性の姿も。鮮魚店で働く50代の男性は「ブレーカーが落ちて冷蔵庫の電気が消えてしまったら困る。店を確認したいけど入れない。配達もあるし仕事に支障が出そうだ」と困惑していた。

白煙が上がる旦過市場の火災現場(左下)。上はJR小倉駅=北九州市小倉北区で2022年4月19日午前8時38分、本社ヘリから上入来尚撮影 拡大
白煙が上がる旦過市場の火災現場(左下)。上はJR小倉駅=北九州市小倉北区で2022年4月19日午前8時38分、本社ヘリから上入来尚撮影

 特に激しく炎が上がったのは、メインの市場通りから奥に入った「新旦過横丁」と呼ばれるエリア。焼き鳥や焼き肉の店、老舗のバーなどが並ぶ。

 新旦過横丁内でバー「しろ」を営んで60年というママの河野トシ子さん(85)は、すぐ近くにある自宅マンションで火災の一報を受けた。「ドアを開けたら店の付近から火が出ていて、もうあかんと思った。今日は東京からのお客の予約も入っとったが、どうすることもできない。きれいに店をしとったからね。見たくないです」と声を落とした。市場で飲食店を営む60代の女性は「恐れていたことが起きた。建物が密集しているから一度火が出ると延焼してしまう」と不安そうに話した。

 近くで暮らす70代女性は「火の粉が飛び散り、火の勢いもすごかった。何年か前も火災があった。風があったらもっと延焼していたかもしれない」と話していた。

 老朽化や防災対策のために区画整理などを実施する市場の再整備事業は、2021年に市が事業計画を決定し始動したばかりだった。事業を受け市場の活性化などに取り組む「旦過総合管理運営株式会社」の常務取締役、田中祥隆さんは旦過中央市場協同組合の事務所で業務にあたってきたが、そこも焼損してしまった。これからという時に起きた災禍に「残念」としながらも「当面は人命を守る安全対策が必要。別の場所で協議をしている」と落胆する間もなく対応に追われた。【日向米華、成松秋穂、林大樹、山田宏太郎、青木絵美、河慧琳】

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