Pages

Friday, March 4, 2022

なぜロシア軍の全長64キロの車列は動きを止めたのか ウクライナ首都近郊 - BBCニュース

A satellite image shows part of a Russian military convoy not far from Kyiv, Ukraine. Photo: 28 February 2022

画像提供, Maxar Technologies

ウクライナ侵攻を続けるロシア軍の全長60キロを超える車列が、ウクライナの首都キーウ(キエフ)から約30キロに迫った地点で、3日以上ほとんど動いていないという。イギリス国防省が3日、明らかにした。米国防当局は、ロシアが依然として首都を包囲してから制圧するつもりだと見ている。

ロシア軍の装甲車や戦車、牽引(けんいん)砲などの長大な車列がキーウに向かっている様子を捉えた人工衛星映像が2月末に明らかになり、首都への大侵攻が切迫していると懸念が広がった。これについてイギリス国防省は3日朝、この縦隊は「3日間で、識別可能な前進をほとんどしていない」と明らかにした。キーウからの距離は依然として約30キロ以上という。

米英当局は、兵站(へいたん)や故障などの問題が、進行を遅らせている可能性を指摘する。

一方で米国防担当者たちは、ロシアは依然として人口300万人の首都キーウを包囲し、必要な場合は封鎖作戦をとってでも、陥落させるつもりだとしている。

Large convoy of Russian vehicles

画像提供, Maxar

なぜ車列は止まったのか

巨大車列が止まった理由について、兵站や機械的な問題に加え、ウクライナ軍による予想外の抵抗や、ロシア兵の士気の低さなどが推測されている。

英政府は、軍用車の故障や渋滞が問題の要因になっているとしている。食料や燃料が不足しているほか、劣化して整備不良のタイヤも問題になっている可能性があるという。

英軍統合司令部の元司令官、サー・リチャード・バロンズはBBCラジオに対して、「燃料、食料、部品、タイヤなどを輸送するための兵站が、大破綻している(中略)多くの車両が次々と泥にはまって動けなくなり、車両を移動させるのが難しくなった」のだと話した。

Russian positions
1px transparent line

ただし、兵站輸送やタイヤの問題よりも、通信システムの不良や公衆回線で連絡をとりあっていることなど、指令と伝達の問題がはるかに大きく影響している可能性もあると、バロンズ元司令官は話した。

米国防総省も、ロシアが物資輸送など兵站上の問題に直面していると指摘。このためロシア軍はこれまでの進捗(しんちょく)を点検し、「何が未達成で、失った時間をどう取り戻すか」検討しているという。

国防総省は、ウクライナ側の抵抗もロシア軍車列の侵攻を阻止しているようだとしているものの、これは客観的に確認できていないという。

予想外に強力なウクライナの抵抗が、ロシア兵の士気に影響している可能性も指摘されている。このことも、車列の前進の遅れにかかわっているのではないかとされる。

かつてウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の大統領補佐官(国家安全保障担当) を務めたオレクサンドル・ダニリュク氏はBBCに対して、「この車列の中に座っている兵士の士気は日に日に下がっている」と述べ、自国の首都を守ろうとするウクライナ兵の強力な意志と対比した。

3月1日には、米国防担当が記者団に、ロシア兵の多くは徴兵で、士気の問題が顕在化していると説明。「自分たちが戦闘現場に送られると気づいていない兵士もいた」と、米当局者は話していた。

1px transparent line

車列の破壊は可能か

ウクライナには一定の空爆力があり、トルコ製の強力なドローンで他のロシア軍車列を破壊してきた。しかし、バロンズ元司令官によると、キーウ郊外に迫る車列ほどの規模の縦隊を破壊できるだけの能力は、ウクライナ軍にはないという。

「(ウクライナ軍は)車列を前と横から攻撃するのは上手」だが、空から攻撃してもその影響は限定的なものにとどまると、元司令官と話す。

ロシア軍は車列の周囲に防空システムを配備し、ウクライナ軍機を迎撃する可能性もあるという。

Military strengths graphic

北大西洋条約機構(NATO)が車列破壊を検討すべきだという意見もあるが、それは大規模なエスカレーションにつながり、核大国同士の戦争のリスクが一気に高まる。

西側諸国の政府は繰り返し、この紛争で直接戦闘に参加するつもりはないと繰り返している。

line

車列の次の動きは

複数の問題が指摘されているものの、巨大なロシア軍車列がキーウ北部に位置し、いずれは進軍を続けるだろうという事実は残る。

「この巨大な縦隊はいずれ、首都を包囲し封鎖する」と、英陸軍の元参謀長、リチャード・ダナット卿はBBCに述べた。ロシア軍がキーウを道路ごとに制圧すれば、多大な被害をもたらすと警告した。

Residential building destroyed by shelling in Irpin in the Kyiv region, 2 March 2022

画像提供, Reuters

バロンズ元司令官も、車列はキーウに甚大な被害をもたらすだけの攻撃力をとどめていると指摘。ロシア軍は砲撃隊と歩兵隊を組み合わせて首都を包囲すると、バロンズ氏は見ており、そこにこの車列も組み込まれるだろうという。

首都を包囲した時点でロシア軍の次の動きには、2つの可能性があるとバロンズ氏は話す。降伏を要求する最後通牒を出すか、あるいは降伏はしないだろうという判断で、第二都市ハルキウ(ハリコフ)を攻撃してきたように大攻勢をかけるかだという。

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( なぜロシア軍の全長64キロの車列は動きを止めたのか ウクライナ首都近郊 - BBCニュース )
https://ift.tt/V8mZ0av

No comments:

Post a Comment