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Tuesday, February 22, 2022

旧優生保護法訴訟、国の賠償責任を初認定 大阪高裁が逆転判決 - 毎日新聞 - 毎日新聞

大阪高裁判決後、紙を掲げる弁護士ら=大阪市北区で2022年2月22日午後2時33分、久保玲撮影
大阪高裁判決後、紙を掲げる弁護士ら=大阪市北区で2022年2月22日午後2時33分、久保玲撮影

 旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制されたとして、近畿地方に住む夫婦と女性の計3人が国に計5500万円の国家賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁=太田晃詳(てるよし)裁判長=は22日、旧法を違憲と判断した。その上で、不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」を理由に請求を棄却した1審・大阪地裁判決を変更し、国に賠償を命じた。一連の訴訟で旧法の違憲性と国の賠償責任をいずれも認め、原告側が勝訴したのは初めて。

 全国9地裁・支部で起こされた同種の訴訟で、初の高裁判断だった。地裁判決では4件の違憲判断が出ているが、いずれも賠償請求を退けて原告側が敗訴していた。

 原告は、いずれも聴覚障害を持つ70代の妻と80代の夫、知的障害のある70代女性の計3人。妻は74年、女性は65年ごろにそれぞれ不妊手術を強制された。約半世紀前の不法行為に対し、国に賠償を請求できるかどうかが控訴審の主な争点だった。

 2020年11月の大阪地裁判決は、旧法を「極めて非人道的かつ差別的」と非難。憲法13条が保障する子を産み育てるかどうかの自己決定権を侵害し、法の下の平等を定めた14条にも違反すると判断した。一方で、原告らの損害は手術の時点で生じたと指摘。手術から20年以上が経過しているとして除斥期間を適用し、国の賠償責任を認めなかった。

旧優生保護法訴訟の控訴審判決を前に大阪高裁に向かう原告団の弁護士や支援者ら=大阪市内で2022年2月22日午後1時23分、芝村侑美撮影
旧優生保護法訴訟の控訴審判決を前に大阪高裁に向かう原告団の弁護士や支援者ら=大阪市内で2022年2月22日午後1時23分、芝村侑美撮影

 原告側は控訴審で、「被害者らは障害や差別によって裁判を起こすことができない特殊事情があった」と主張。1審に続き、除斥期間の適用除外などを求めていた。【芝村侑美】

旧優生保護法

 「不良な子孫の出生防止」をうたい、終戦後の1948年に議員立法で成立。障害などを抱える人への不妊・中絶手術を認め、本人の同意を得ない強制手術も容認された。国によると、少なくとも約2万5000人に手術が実施された。国際的な批判を背景に96年、障害者への差別的条項を削除して母体保護法になった。2019年に被害者の救済法が議員立法で成立し、1人当たり320万円の一時金が支給されることになった。

除斥期間

 権利関係を早期に確定させるため、一定期間行使されない権利は自動的に消滅するという法律上の概念。不法行為による損害賠償請求権が20年で消滅すると定めた民法の条文について、最高裁は1989年に除斥期間とする初判断を示して定着した。当事者の認識に関係なく進行する。一方、「著しく正義、公平の理念に反する」場合、適用を制限できるとの最高裁判例もある。

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