「感染者と1m以内まで近づいて、マスクをせず15分間の会話すると、感染確率は60%」──理化学研究所などの研究チームは2月2日、スーパーコンピュータ「富岳」による新型コロナウイルス・オミクロン株の感染シミュレーション結果を発表した。
研究リーダーの坪倉誠氏(理研、神戸大)は「この結果は、オミクロン株がデルタ株の1.5倍の感染力を持つと仮定し、シミュレーションして得たもの。過去にクラスター感染が起きたときのウイルス数の平均値から算出した結果、60%という値を示した」と説明した。
マスク着用時でも、話し相手との距離が50cm以内にまで近づくと、最大で約30%の感染リスクがあるという。「マスクをしていても安心せずに、人と話す場合は距離を取り、接触時間を短くするなどの対策を忘れないようにしてほしい」(坪倉氏)と訴えた。
イベントや飲食店、カラオケでのシミュレーション結果
イベントや飲食店、カラオケボックスなどの状況別でのシミュレーション結果も発表した。特定の間隔で人が座っているイベントで、感染者が右隣の人と1時間会話をした場合、マスクを着用していても隣人の感染リスクが40%あるという。
飲食店では、16人程度が入る小型飲食店に感染者が1人おり、30分間大声で話をしている場合でシミュレーションをした。機械換気やキッチンダクト、エアコンなどの換気機能が働いている場合は空気がかき混ぜられるため、感染リスクを下げられる。さらにパーティションも取り入れることで感染リスクは3分の1程度まで下がる。
カラオケボックスを想定したシミュレーションでは、室内の人数が多いほど感染するリスクが増加すると分かった。1部屋当たりの人数を減らす他、歌う場所をエアコンの排気口の下にするなど、飛沫の発生場所を限定することでも感染確率を下げられるという。
坪倉氏は「今回のシミュレーションで、法令に定められている換気だけでは、オミクロン株の新規感染者数が必ず増える状態にあると分かった。換気やパーティションなど対策を施すことでリスクを3分の1まで下げられるので、室内での対策の重要性を再認識してほしい」と話した。
画像提供:理化学研究所・神戸大学、協力:鹿島建設、三菱総合研究所、大王製紙、ダイキン工業、数値フローデザイン、豊橋技術科学大学、京都工芸繊維大学、東京工業大学、九州大学
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