2022年01月23日07時11分
【シドニー時事】南太平洋の島国トンガで海底火山が噴火して22日で1週間が経過した。ごう音に続いて津波も押し寄せ、国民の約8割が被災するなど「未曽有の天災」(トンガ政府)に見舞われた。当初つかめなかった被害の状況が次第に明らかになり、各国からは水や衛生用品など救援物資が届き、電気などライフラインも徐々に復旧。国は落ち着きを取り戻し始めている。
◇「恵みの雨」に祈り
「雨が降るのを祈っている」。火山から約65キロ南方にある首都ヌクアロファのラジオ局記者マリアン・クプさん(40)は、樹木や車、道路など街中に降り注いだ火山灰の清掃に追われる住民らの気持ちを冗談交じりに話した。街には青空が戻り、火山は小康状態だという。
クプさんは「サイクロンは多く経験したが、サイクロンよりも恐ろしかった」と噴火当時を振り返った。体験をフェイスブックなどに投稿し、復興に取り組む被災地の現状を世界に伝えている。最大15メートルに達した津波が残した爪痕も大きい。
トンガは王国で日本の皇室との交流もあり、親日的だ。オーストラリアやニュージーランド(NZ)に続き、日本も支援物資を積んだ自衛隊機を派遣。クプさんは「日本は(これまでも)たくさん支援してくれた。とてもありがたい」と話した。
◇小さな島に大きな被害
トンガ政府は21日、ノムカ島など3島で少なくとも計14人の負傷者が報告されたと発表。死者は18日の発表と変わらず3人でいずれも津波が原因という。ノムカ島には、医療施設が津波で流されたため野戦病院が設置された。国連人道問題調整事務所(OCHA)は「離島を含め国の大半の地域を調査団が訪れた」と述べており、死者が今後、大きく増える可能性は低下したとみられる。
ロイター通信によれば、米航空宇宙局(NASA)は火山の爆発力が広島型原爆の500倍以上だったと分析した。巨大な噴煙と共に、火山灰は上空約40キロに達した。火山灰は続いて地上に降り注ぎ「まるで月面」(NZ)と呼ばれる光景を生んだ。
こうした自然の猛威による被害は小さな島が集まったトンガにはあまりにも大きい。トンガの人口は10万人余りだが、OCHAによれば、被災者は約8万4000人に達した。
トンガなど太平洋の島国は、津波だけでなく気候変動に伴う海面上昇で水没の危機にもひんしている。
30年前に海面上昇の調査を現地で行った茨城大の三村信男前学長(地球環境工学)は当時、1メートルの海面上昇と2.8メートルの高潮が重なって3.8メートルの氾濫が起きた場合、ヌクアロファがある本島のトンガタプ島の14%に影響が及ぶと推計していた。津波を「海の洪水」と表現し、ゆっくりと起きる水没との違いに言及しながらも「トンガが(海からの)被害を受けやすい地理的特徴」があると指摘している。
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