静岡県熱海市で起きた土石流は、山間上部の盛り土崩落が被害を大きくしたとの見方が強まってきた。盛り土は建設残土が持ち込まれたとみられている。国は相次ぐ土砂災害を受け、居住区域の開発制限を強化しているが、残土処分の規制は事実上、自治体任せ。リニア中央新幹線建設など残土を出す大型工事が相次ぐ中、国主導のルールづくりが求められそうだ。
■発端
「まさに天変地異。山が水をもちきれず、盛り土を押し流して被害を大きくした」。五日、現場を訪れた静岡県の川勝平太知事は記者団に、山の土壌が雨を吸収できずに崩れ、盛り土も流れ出たとの見解を示した。
県などによると、土石流の起点付近には約五・四万立方メートルの盛り土があり、これを含む十万立方メートルの土砂が流出した。建設残土による盛り土とみられ、住民は「ダンプカーが十年以上、頻繁に土を運んでいた」と証言。近くでは太陽光発電施設も開発されていた。
盛り土は一般に自然の状態より強度は低いが、井良沢道也・岩手大教授(砂防学)によると、重機で締め固めるなどすれば簡単には流れ出さない。ただ「盛り土内部に大量の水が流れ込み、強度が落ちていた疑いもある」と話す。
堀田紀文・...
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