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Monday, May 31, 2021

接種7月末完了と発表なのに「8月を勧められた」…100%でなくても「接種完了」とする自治体も - 読売新聞

 「地元自治体で『ワクチン接種は7月末完了』と発表しているのに、8月の接種日を勧められた」。新型コロナウイルスワクチンの高齢者向け接種を巡り、こんな電話が読売新聞立川支局にかかってきた。「7月末完了」は菅首相肝いりの政府目標だが、事の真相を取材すると、そもそも「完了」とはどのような状態なのかの定義がないことが混乱を招いているようだ。(中川慎之介)

 電話は5月21日に、東京都東大和市の女性(76)からかかってきた。同市では同8日に集団接種が始まり、女性は電話予約に数日間挑戦し続けてようやくつながったが、指定された1回目の接種日は「8月15日」だったという。そのまま予約はしたものの、「市は『7月末に接種を完了する』と言っているのになぜだろう」と、納得はいかなかった。

 市は5月上旬に実施された国の調査で、いったん接種完了を「8月中」と回答。だが、その後、政府目標に沿う「7月末」に前倒ししており、女性はこの変更を報道で知っていた。

 東大和市の接種を巡っては、ほかにも「予約は8月だったが、当然、7月に前倒しができると思って再度電話をしたら『できない』と言われた」など計4件の電話が支局に寄せられた。

 この疑問を解消すべく、東大和市のワクチン接種の担当者に尋ねてみた。市として7月末への前倒しは表明したが、特段ワクチンの打ち手の人数を増やしたり、会場を増設したりするなどの計画見直しはしてはいないと言う。変わったのは「何をもって『接種完了』と見なすか」なのだそうだ。

 市の高齢者は約2万4000人。当初の試算では、7月末までに2回の接種を済ませられるのは高齢者人口の68%にとどまり、やむなく国には「8月中」と回答していた。

 ところが、改めて他の自治体の状況を調べると、100%に達しないのに「接種完了」としている自治体があることがわかった。接種を希望しない人も一定数いると想定されるからだ。そこで、市は「68%であれば7月末を完了とみてもよいのでは」と考え、完了を前倒しすることにした。

 ただ、市によると、5月25日に始まった個別接種は想定以上のペースで進んでおり、現在は7月末までに高齢者のほぼ全員が2回の接種を済ませられる可能性もある。集団接種の予約枠にも空きが出始め、再度電話をすれば、場合によっては予約を前倒しすることもできるという。

 政府目標の「完了」がどのような意味なのか、国が統一的な基準を示しておけば、今回のような混乱は起きなかったはずだ。

 自治体への調査を担当した総務省地域政策課に聞くと、最新のデータでは、都内の51自治体が接種完了を「7月末まで」と回答し、11自治体は8月以降になるとしている。ただ、同課の担当者によると、やはり「完了の定義はない」。その理由について、「統一的に定めず、地元の事情を基に、自治体に判断してもらうことだと考えている」と説明した。

 都内自治体の回答を取りまとめ、国に報告した立場の都にも尋ねてみた。ワクチン接種の担当者は「自治体としては、人口の何割を目指せばよいのかわからないまま、国から『7月末』との目標だけが示されている。私たちも完了の定義を知りたいと考えている」と述べ、区市町村から「7月末完了」との回答があれば、そのまま国に報告しているという。

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