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Monday, April 12, 2021

福島第一原発の処理水、海洋放出方針を政府正式決定…風評被害への損害賠償は無期限対応 - 読売新聞

 東京電力福島第一原子力発電所の放射性物質を含んだ「処理水」を巡り、政府は13日午前、関係閣僚会議を開き、海洋放出する方針を正式に決めた。大量の海水で希釈し、放射性物質の濃度を国の基準値以下にしたうえで、約2年後をめどに放出を始める。原発事故から10年が経過し、懸案だった処理水への対応が動き出す。

 菅首相は会議で「処理水の処分は避けて通れない課題だ。安全性を確保し、政府を挙げて風評対策を徹底する」と述べた。会議では処理水の処分に関する基本方針を決定し、水産物などへの風評被害が生じた場合、東電が賠償に応じることなどを明記した。

 基本方針では海洋放出を選んだ理由について、国内の他の原発で排水実績があることから「確実かつ安定的に実施可能」と説明した。必要な配管や関連設備の設置などには約2年かかる。原子力規制委員会の認可を前提に、東電が30年程度かけて放出を行う。

 処理水はすでに放射性物質の大半を取り除いているが、放出前に海水で100~1700倍の量に薄め、取り除くことの難しい放射性物質トリチウムを希釈する。世界保健機関(WHO)が示す飲料水の基準の7分の1程度にする。

 現在、福島第一原発の敷地内には東京ドーム1個分の容積に相当する約125万トン(タンク約1000基分)の処理水がある。1日平均で約140トン増える状況が続くと、22年秋にも計画する保管量(137万トン)の限界に達するとみられている。

 政府は、海外で輸入制限措置などが取られることのないよう、安全性が確保されていることについて情報発信を行う。中国や韓国などが反発を強めているため、東電による風評被害への損害賠償は、東北沿岸だけでなく全国を対象に、無期限で対応する。

 政府と東電は、漁場や海水浴場などの水質調査を強化するほか、新たな有識者会議で安全性を検証する。科学データは国際原子力機関(IAEA)などに提供し、客観的に安全性が評価されるよう取り組む。

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