政府・与党は、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長の辞任を一区切りとし、一連の混乱の収拾につなげたい考えだ。ただ、国内外で批判が強まりながら、身動きがとれずに事態を悪化させた面もあり、菅首相は痛手を負った形だ。
政府は、森氏の進退問題とは距離をおいてきた。首相も「組織委は公益財団法人で、首相として(進退を)主張することはできない」と説明してきた。政財界に広く人脈を持つ森氏が会長職にとどまることが、大会成功には望ましいとの考えとともに、森氏に直言できる議員がいないとの事情もあった。自民党幹部は「世間の風当たりが強くなっていることは分かっていたが、辞任を促すことはできなかったのだろう」と解説する。
しかし、これが森氏を擁護していると受け止められた。自民党の二階幹事長が大会ボランティアの辞退が相次いでいることに、「どうしてもやめたいなら、新たに募集する」などと述べたことも火に油を注いだ。首相は東京大会の成功を最大の政権浮揚策と位置づけるが、今回の混乱で国際的なイメージの悪化は確実だ。コロナ禍で規模の縮小が避けられない中、東京大会の中止を求める一部の野党に攻撃材料を与えたこともマイナスだ。
首相に近い議員は「首相がリーダーシップを取っていないと国民に見られてしまった」と肩を落とす。公明党幹部は「政権運営に悪影響が出ないようにしなければいけない」と言葉少なに語った。
緊急事態宣言で新型コロナウイルスの新規感染者数は減少傾向にあり、内閣支持率も下げ止まりの兆しを見せていた。来週からはコロナ対策の切り札と位置づけるワクチン接種も始まる。反転攻勢の前に起きた森氏の辞任劇に、首相官邸からは「傷口を広げるだけ広げた。遅すぎだ」との恨み節も漏れている。
からの記事と詳細 ( 森氏辞任劇「傷口を広げるだけ広げた」…首相官邸から恨み節 - 読売新聞 )
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