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Thursday, February 4, 2021

社説:首相長男の総務省接待 「知らない」では済まない - 毎日新聞

 菅義偉首相の政治姿勢が問われる新たな不祥事が発覚した。

 総務省の谷脇康彦総務審議官ら幹部4人が昨年10~12月、衛星放送やテレビ番組制作などを手がける東北新社の幹部と無届けで会食し、手土産やタクシーチケットを受け取っていたことが明らかになった。

 会食には同社社員である菅首相の長男が同席していた。

 総務省は放送事業を所管している。同社のような利害関係者から接待を受けるのは国家公務員倫理規程に違反する可能性が高い。

 一方、会社側には首相の長男という立場を利用して、事業の許認可などを有利に進めようとしたのではないかという疑念がある。

 にもかかわらず、首相はきのうの衆院予算委員会で、時に気色ばんで「私は承知していない」「長男は公的立場にない」と突っぱね続けた。今後の対応についても「総務省が調査する」と繰り返すだけだった。

 この接待により、総務省が同社に何らかの便宜を図ったかどうかは現時点では不明だ。ただし、公務員の倫理規程は、国民からわずかでも疑惑を持たれないようにするため厳しく定められたものだ。

 総務省は、関係者に事後の届け出をさせて、自分の代金分を会社側に支払うよう指示したという。倫理規程違反であることは既に認めているということだ。

 同省では2019年、かんぽ生命保険の不正販売をめぐる行政処分の検討状況を日本郵政グループ側に漏えいした問題で、事務次官が辞職した。

 利害関係者との癒着が批判されたのを忘れたのか。それとも首相の長男が関係していたから会食を断れなかったというのだろうか。

 菅首相は総務相経験者で、同省の政策や人事に今も大きな影響力を持っている。長男は、菅首相が総務相だった時に、その秘書官を務めていた。

 安倍晋三前政権時代には、森友学園問題や加計学園問題が発覚した。首相や妻昭恵氏の知り合いだから優遇されたのではないかという疑問は今も消えていない。

 国民は今、そうした「特別扱い」に一段と厳しい目を向けている。首相は国民の意識を理解していないとしか思えない。

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