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Tuesday, May 5, 2020

国家と医療~新型コロナ対策 | 令和の幸福論 | 野澤和弘 - 毎日新聞

 世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス。医療崩壊に陥っているところもあれば、比較的余裕のある国もある。コロナ禍はその国の「医療」を映し出す鏡のようだ。政府による医療政策や提供体制、水準だけでなく、それらの土台にある社会のありよう、国民の政府に対する信頼や死生観まであらゆるものが容赦なくあぶり出される。

 新型コロナウイルスの感染者が広がるなか、客でにぎわうスウェーデンのレストランが日本のテレビで紹介された。在宅勤務が本格化し、平日の午前中からこの情報番組を見ていた人は多かっただろう。

 「スウェーデンは医療システムがしっかりしていますから」とキャスターは言う。ああ、やっぱり北欧は進んでいるな……と思った人もいたに違いない。だが、「福祉国家」と称されてきたスウェーデンの医療政策はそう単純なものではない。

 スウェーデンの感染者数や死者数の増加は著しい。3月16日、死者数はまだ6人だったが、4月19日には感染者約1万5000人、死者は約1540人になった。

 同時期の日本は感染者約1万1500人、死者約250人だ。スウェーデンの人口規模が日本の10分の1以下であることを考えると、人口当たりの感染者数や死者数は日本の比ではなく、感染者の約1割が死亡するというすさまじさは想像を絶する。

 ただ、厳しい都市封鎖(ロックダウン)政策を取る国が多い中で、スウェーデンは強制的な封鎖をせず、国民に外出自粛を要請するという緩やかな対策を実施している。3月末に50人以上の規模の集会やイベントは禁止にしたものの、町のレストランやカフェなどはふだんのにぎわいを見せている。大学や高校はオンライン授業が基本だが、小学校や幼稚園は通常通りだ。

 スウェーデン政府のコロナ対策は明確だ。感染拡大を防ぐのが難しいことを前提として、医療体制の維持を優先し、できるだけ拡大のスピードを遅くすることに努めている。

 新型コロナウイルスを抑制するには、有効なワクチンを開発するか、集団免疫といって国民の6~7割が感染してウイルスに対する抗体を持つしかない。スウェーデンは医療崩壊を招かないようにしながら、経済や国民生活にも過度なダメージを与えず、集団免疫を獲得する戦略を実施しているのである。

 英国でも当初は集団免疫戦略を打ち出したが、感染者が急増し医療崩壊が現実のものとなってロックダウン政策へと変更した。新型コロナウイルスの感染力が強く、医療従事者への感染も急速に広がったためだ。米国のトランプ大統領は「スウェーデンは集団免疫戦略を取っており、深刻な状況にある」と批判した。

 しかし、これまでのところスウェーデンでは医療崩壊は起…

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