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Monday, April 1, 2024

「優香の分も生きる」と誓う18歳、地元・珠洲の酒造会社でひとりの入社式…「復興した街並み見ながら宗玄の酒飲みたい」 - 読売新聞オンライン

 元日の能登半島を襲った地震から1日で3か月となった。被災地は追悼の日に新年度を迎え、石川県 珠洲すず 市の老舗酒造会社「 宗玄そうげん 酒造」にただ一人新卒採用された 苗加のうか あやめさん(18)は、入社式に臨んだ。古里の復旧は見通せず、いとこらを失った悲しみは癒えないが、「この場所で頑張っていく」と前を向く。

 1日午前、真新しい制服に身を包んだ苗加さんは従業員を前に、「大変なこともあるが、頑張っていきたい」と決意を語った。「優香の分も精いっぱい生きて、地元の復興に貢献するよ」。心に誓った。

 元日の地震で、大間優香さん(当時11歳)らいとこ3人とその母親を失った。4人は珠洲市の母親の実家に帰省していて、土砂崩れに遭った。告別式では遺影を前に泣き崩れた。

 優香さんは妹のような存在だった。夏休みに勉強を教えたり、大好きなK―POPについておしゃべりしたり。地震前日の大みそかにも会い、「優香は彼氏できたの?」「それは秘密」とたわいない話で盛り上がったばかりだった。

 地震では、就職の内定を得ていた宗玄酒造も被害を受けた。蔵に土砂が流入し、貯蔵タンクは損傷。水道が復旧せず、酒造りの再開は見通せない状況だ。

 自宅も津波で1階が浸水した。避難所の小学校からは3月中旬に戻ったところだ。同級生のほとんどが進学や就職で市外に出る。母の康子さん(43)からは「珠洲を離れてもいいからね」と心配され、会社からも意思を再確認されたが、気持ちは揺るがなかった。「日本酒を通じて珠洲の魅力を全国に伝えたい」という。八木隆夫社長(60)は「地元愛が強くて頼もしい。一緒に困難を乗り越えていきたい」と期待する。

 「復興した街並みを見ながら、宗玄のお酒を飲んでみたい」と苗加さん。どんな味がするだろう。将来を楽しみに思い描いている。(吉田一葵)

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