13日投開票の台湾総統選は、世界の投資家にとって地政学的な面で2024年最初の大きな試金石となる。今年は米金融当局の政策転換や米大統領選挙など投資家にとって対応が難しいイベントがめじろ押しとなっている。
中国ウオッチャーによれば、総統選の結果を受け世界市場がすぐに変動することはない見通しで、当選した候補がどのような発言をするかや、それに対する中国政府の反応に大きく左右される見通しだという。米大統領選候補者のキャンペーン中の発言も影響する可能性がある。
ピクテ・ウェルス・マネジメントなどのグローバル投資家は、ドルや円、金といった伝統的な安全資産に加え、先進国のソブリン債も地政学的リスクが高まった場合のヘッジになり得ると指摘する。一方、新興市場ではインドネシアのようにサプライチェーン多様化の恩恵を受ける国の資産が上昇する一方で、韓国は困難に直面する見通しだとソーンバーグ・インベストメント・マネジメントは分析した。
今回の総統選・立法院(議会)選挙は、少なくとも今後4年間、米中関係のダイナミズムを変化させ得る新たな政治状況をもたらす見込みだ。台湾は世界の先端半導体の大半を製造し、台湾近くを通る海上交通路は世界で有数の輸送量となっている。このため一部の試算によると、万一、台湾有事が発生すれば、世界の国内総生産(GDP)の約10%に相当する10兆ドル(約1450兆円)前後が失われる可能性がある。
中国は国家安全保障上の問題として、台湾はいずれは中央政府の支配下に置かれるべきだと考えており、その実現のための武力行使の可能性も排除していない。一方、米国は台湾有事を阻止するために行動する用意があるとの立場を強めている。
ソーンバーグの共同投資責任者、ジェフリー・クリンゲルホーファー氏は「潜在的な緊張が高まるような予想外の結果になれば、伝統的なリスクオフ通貨が恩恵を受けるだろう」とし、代表的な例としてドルと円を挙げた。そして逆の状況になれば、豪ドルの後押しになると分析した。
対米重視の与党・民主進歩党(民進党)が過去最長の3期連続で政権を獲得すれば、習近平国家主席の中台接近の取り組みはまたも打撃を受けることになる。現在、民進党が過半数議席を握る立法院の選挙も極めて重要な意味を持つ。
ピクテでポートフォリオ運用に携わるリッキー・ジア氏は、金は地政学的リスクに対する堅実なヘッジであることに変わりはないが、健全な財政状況にある欧州やアジア諸国の国債も選挙の多い年には衝撃を和らげるのに役立つと指摘した。
中国の反応
資産運用会社アムンディの地政学責任者、アンナ・ローゼンバーグ氏は、中国が主要な輸出入を禁止し必需品のみを許可する措置を実施した場合は台湾の通貨や株式、不動産は打撃を受けるが、影響は局地的なものにとどまる可能性が高いと述べた。
ユーライゾンSLJキャピタルのスティーブン・ジェン最高経営責任者(CEO)は民進党の頼清徳候補が僅差で勝利すると予想するとした上で、「重要なのは今後数カ月、数年の間に頼氏がどのような行動をとるかであり、また中国政府がどう反応するか、あるいは頼氏を交渉のテーブルに着かせるためにより積極的なアプローチを取るかだ」と話した。
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原題: Taiwan Vote Is Key Test for Markets to Navigate US-China Strains(抜粋)
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