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Sunday, April 23, 2023

自民補選4勝も野党の猛追許す 安保・少子化 説明責任軽視に国民不満:東京新聞 TOKYO Web - 東京新聞

取材に応じる自民党の(右から)茂木幹事長、森山選対委員長ら=24日未明、東京・永田町の党本部

取材に応じる自民党の(右から)茂木幹事長、森山選対委員長ら=24日未明、東京・永田町の党本部

 岸田文雄首相の「中間審判」と位置付けられた23日投開票の衆参5補欠選挙で、自民党は4勝を挙げた。ただ、安倍晋三元首相の地盤だった衆院山口4区以外は猛追された。争点になった防衛力強化のための増税方針、少子化対策などの政策課題や、重大な政策転換でも説明責任を軽視する岸田政権の姿勢に対する国民の不満が小さくなかったとみられる。(曽田晋太郎、坂田奈央、大野暢子)

◆野党、防衛増税反対で足並み

 自民党の茂木敏充幹事長は24日未明の記者会見で「岸田政権の中間評価ということなら、前向きな評価をいただいた」と強調。立憲民主党の岡田克也幹事長は会見で、参院大分選挙区と野党が分裂した衆院千葉5区の接戦を踏まえ「千葉は自民候補の得票率が(有効投票の)3割だから、決して信任されたとはいえない。大分は岸田政権のやっていること、やり方に対する批判が非常に強い」と主張した。

 争点として各党が力を入れたのは、防衛力強化や、その財源を確保するための増税方針の是非だ。

 岸田政権は昨年12月、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有や、防衛費を5年間で国内総生産(GDP)比2%まで倍増させることなどを柱とする安保関連3文書の改定を閣議決定。新たに必要となる17兆円の捻出を目的に、所得、法人、たばこの3税の税率引き上げ方針も示した。専守防衛を形骸化させる安全保障政策の大転換だが、政権は決定まで国会で質問されても正面から答えなかった。

 選挙戦では、与党がロシアのウクライナ侵攻などを引き合いに防衛力強化の必要性を訴えたのに対し、野党は「なぜ倍増が必要なのか、首相は納得できる説明をしていない」(岡田氏)などと批判。一枚岩とはいえない主要野党も、防衛増税の反対では足並みをそろえた。

◆選挙前に方向性示さず

 急速な人口減や出生率低下を背景に、各党が競ったのは子ども・子育て支援策。「社会全体で子どもの育ちを支援する」との理念を掲げた旧民主党の流れをくむ立民は、政権に先行して少子化対策を打ち出してきた実績を強調。日本維新の会も長く唱えてきた教育無償化などをアピールした。

 政権は補選と統一選を間近に控えた3月、児童手当の拡充や出産への保険適用、教育費負担の軽減などを列挙した「異次元の少子化対策」のたたき台(試案)を公表。ただ、財源の裏付けはなく「選挙目当てのばらまき」とも指摘された。

 財源は、政権が6月に策定する経済財政運営の指針「骨太方針」で大枠が決まる見通し。物価高で国民の暮らしが厳しさを増す中、さらなる負担増になるのは確実で、社会保険料の増額を軸に検討されるとみられるが、選挙前に方向性を説明しなかった。

◆有権者に判断材料示さず

 ほかにも政権の政策決定の妥当性や説明責任が問われた課題はある。

 原発政策を巡っては、東京電力福島第一原発事故以降の政権が一貫して否定してきたリプレース(建て替え)の容認に首相がかじを切った。昨夏の参院選が終わった途端、公約もせず、国会の議論も経ずに従来の政府方針を事実上覆した。

 性的少数者(LGBTQ)の理解増進法案の対応では、超党派の議連が合意しながら、主要政党で唯一、自民党が了承していない。首相は2月、党側に国会提出の準備を指示したものの、党内の反対論は根強く、選挙前に結論を導こうという動きを見せず、有権者に判断材料を示さなかった。

 衆参5補選の経緯 衆院千葉5区は政治資金規正法違反事件で自民党を離党した薗浦健太郎氏の辞職に伴う。和歌山1区は国民民主党で幹事長代行などを務めた岸本周平氏の和歌山県知事選転出による。山口2区は自民の岸信夫前防衛相の体調不良による政界引退、山口4区は自民の安倍晋三元首相の死去に伴う。参院大分選挙区は野党系無所属の安達澄氏の大分県知事選出馬により行われた。


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