世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が信者に献金や奉仕を強要しているとして、被害弁償などに取り組んでいる「全国霊感商法対策弁護士連絡会」は12日に記者会見し、今も同連合による信者への献金の強要に関する相談が寄せられていると明らかにした。同連合に対して献金の違法性を指摘し、元信者への返金を命じる民事裁判の判決が近年も相次いでおり、「(同連合による)献金の強要はないという説明はうそ」と強調した。
安倍晋三元首相への銃撃事件で逮捕された山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検=は「母親が(同連合の)信者で、寄付により破産して家庭が崩壊した」ことが事件の動機の背景だったと供述。同連合の田中富弘会長は「母親の寄付は本人の意思に基づく」と反論し、同連合では「過去に献金トラブルもあったが、09年からコンプライアンス(法令順守)を徹底した。今は献金の強要はしていない」と説明していた。
これに対し、弁護士連絡会の代表世話人を務める山口広弁護士は12日の会見で「(同連合は)今も司法に違法行為を指摘されている」と強調。元信者の女性が2012~15年に行った献金の返還を求めた訴訟では20年2月、東京地裁が「献金の要求は、不安や恐怖をあおる不当な方法だった」として勧誘した同連合側に約470万円の返還を命じる判決(その後上告棄却により確定)を出すなど、近年も複数の民事訴訟で同連合による献金の違法性を認める判決が相次いでいると指摘した。
また、弁護士連絡会はあわせて、同連合に対して支持を表明するような行為を慎むよう政治家に求める声明を公表した。
弁護士連絡会は21年9月、同連合の友好団体のオンライン集会にビデオメッセージを寄せた安倍元首相に対し「『お墨付き』を与えることになる。安倍先生の名誉のためにも慎重に考えていただきたい」という抗議文も送っている。
山口弁護士は、同連合が政治家との接点を持つ理由について①捜査の手が及びにくくする②布教に際して信者らの信用を得る③同連合が主張する同性婚反対などの主張を実現する――ためだと指摘し、政治家に対して理解を求めた。
弁護士連絡会は1987年に結成され、全国の弁護士が参加。現在も同連合に不当に献金を強要されたなどと訴える元信者らの相談に応じている。【春増翔太】
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