ロシア軍がウクライナとの国境近くで戦力を増強していることが分かった。2月18日前後に撮影された衛星写真を分析した。国境近くの各地に攻撃ヘリを配備しているほか、地対空ミサイル「S400」をベラルーシの飛行場に置いたことも衛星写真で確認された。
ベラルーシのルニネツ飛行場(地図①)
米衛星運用会社マクサー・テクノロジーズは2月14日にベラルーシのルニネツ飛行場を撮影した衛星写真について、地対空ミサイル「S400」が配備されていると分析している。4日の画像と比較すると、装備が増えている。
別の衛星写真には戦闘機が確認され、マクサーはスホイ25攻撃機としている。
クリミア半島のドヌズラフ湖岸(地図②)
2月18日にクリミア半島のドヌズラフを撮影したマクサーの衛星写真には、複数のヘリコプターが写っている。マクサーは60機以上のヘリが待機していると指摘する。13日撮影の画像と比べても同規模のヘリが残っている模様だ。ロシア国防省はクリミア半島から一部撤収を始めたと説明していた。
ベラルーシのリダ飛行場(地図③)
2月16日にリダ飛行場を撮影したマクサーの衛星写真には、複数のヘリコプターが写っている。マクサーは一帯には少なくとも50機のヘリコプターが新たに配置されたとみている。これまで明らかになっていなかった場所で戦闘力の配備が確認されたことからも、ロシア軍が戦闘準備を着々と進めているとみられる。
クリミア半島のノボオゼルノエ(地図④)
2月18日にクリミア半島のノボオゼルノエを撮影したマクサーの衛星写真は建物がたくさん写っている。マクサーは兵舎テントと野戦病院とみている。別の衛星写真では戦車や装甲兵員輸送車、歩兵戦闘車が見える。
ロシア西部のミレロボ飛行場(地図⑤)
2月15日にミレロボ飛行場を撮影したマクサーの衛星写真には飛行機が確認できる。マクサーはスホイ25攻撃機とヘリコプターとしている。別の衛星写真では戦車、装甲兵員輸送車からなる一団が新たに配置された様子も写っている。
ロシア西部のバルイキ(地図⑥)
マクサーの2月15日バルイキの衛星写真には複数のヘリコプターが写っている。マクサーは一帯には20機以上のヘリコプターが新たに配置されたと分析している。
英非営利組織のセンター・フォー・インフォメーション・レジリエンス(CIR)は、動画投稿アプリ「TikTok」やTwitterに投稿された動画などをもとにロシア軍の動向を調査している。CIRは事実確認した動画などの撮影地点を「ロシア・ウクライナ・モニター・マップ」として公開している。撮影地点を時系列で表示すると、ロシア軍の行動範囲が次第にウクライナ国境に近づいてきたことが分かる。
ポーランドの軍事コンサルタント、ロハン・コンサルティングは「ロシア軍がウクライナ国境での存在感を高めている証拠がある」と指摘する。ロシア西部クルスクの拠点は一段と拡大しており、より国境に近いタマロフカでは戦車が目撃されている。ロハンは最近のロシア軍の傾向として「森林のキャンプに隠れているケースも多い」とみる。今後は動画などでロシア軍の行動を捕捉するのが難しくなる可能性がある。
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バイデン米大統領は18日、ホワイトハウスで演説した。ロシアのプーチン大統領がウクライナへの侵攻を決めたかどうかについて「ロシア軍が数日以内にウクライナを攻撃しようとしていると信じる理由がある。標的はウクライナの首都キエフだろう」と明言した。
ウクライナ東部ドネツク州では親ロ派武装勢力が18日、「ウクライナ軍による攻撃が迫っている」として住民に避難を呼びかけた。子供や女性、高齢者らがバスで避難を始めた。また、ドネツク市内では、ATMで現金を引き出す人やガソリンスタンドで給油する車の列がみられた。
佐藤賢、黄田和宏、伊地知将史、斎藤一美
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