[18日 ロイター」 - 1月15日、トンガ沖の海底火山の噴火により、日本でも津波警報や避難指示が出された。南太平洋の複数の島には大波が押し寄せ、ソーシャルメディアに投稿された映像には、沿岸部の住宅を襲う津波が記録されている。
フンガトンガ・フンガハーパイ火山は、トンガの首都ヌクアロファの北方約65キロの沖合にある。最後に噴火したのは2014年。科学者らによれば、15日に噴火するまで約1カ月にわたって噴煙が観測されていた。その後摂氏1000度前後のマグマが上昇し、摂氏20度の海水に触れたことにより、瞬間的に大規模な爆発が生じた。
<太平洋の海底に潜む火山群>
トンガ諸島は、火山の噴火や定期的な地震で知られる環太平洋火山帯上に位置している。ニュージーランドからフィリピン、インドネシア、中国沿岸、さらには北米・南米大陸の西岸へと続き、チリの先端に至る馬蹄形の弧を描く地域だ。
トンガは太平洋プレートとインド・オーストラリアプレートという2つの主要地殻プレートが出会う場所にある。太平洋プレートは西に押しやられ、インド・オーストラリアプレートと小規模なトンガプレートに到達すると「沈み込み帯」に沿ってマントルへと沈降していく。マグマは沈降していくプレートの上で発生し、上方の地殻を貫いてゆっくりと上昇し、付近に火山帯を形成する。
米航空宇宙局(NASA)ゴダード宇宙飛行センターの研究者ダン・スレイバック氏によると、フンガトンガ・フンガハーパイ火山は12月末に新たな火口から噴火を開始。「前回の噴火で吐き出された高さ120メートルの円錐状に堆積した火山灰を大部分崩壊させ、新たな噴出物が火口湖を完全に埋め尽くした」と説明する。
この火山島は2カ月の間に劇的に姿を変えた。2015年、科学者らはこの島が波の浸食により数カ月で海面から姿を消すだろうと考えた。だが、実際には火山島は成長していた。
プラネットラブスが撮影した1月7日の衛星画像では、火口から火山性ガスが出ているのが分かる。1月15日、噴火の約2時間前の時点では、火口はほぼ海面下に没していた。
<津波警報>
オーストラリア気象庁は、噴火により高さ1.2メートルの津波が発生したとしている。津波は、トンガ諸島から北西に8000キロ近く離れた日本にまで到達した。日本の気象庁は、少なくとも2カ所で波高が最大3メートルに達するとの警報を発した。
噴火の現場から西に1万キロ以上離れたペルーでは、異常な高波により2人が溺死したと報じられている。
通信状況の悪化が深刻なため、トンガからの情報はほとんどない。トンガ政府の最初の発表では、飼い犬を救出しようとして亡くなった英国籍の女性を含め、3人の犠牲者が確認された。
噴火はあまりにも強力で、火山灰の巨大な雲ばかりか、大気中を音速に近い速度で放射状に広がっていく衝撃波も衛星から観測された。
<孤立する被災地>
オーストラリアとニュージーランドは、通信が完全に途絶したトンガの離島の被害状況を調べるため、17日に偵察機を派遣した。
また噴火により、トンガをフィジー経由で国際ネットワークに接続している全長827キロの海底光ファイバーケーブル「トンガ・ケーブル」が損傷した。海底ケーブル補修を専門とする米企業サブコムが保有するケーブル敷設船「CSリライアンス」がケーブルの修復に向かうものとみられている。同船は、4000キロ近く離れたパプアニューギニアのポートモレスビーに停泊中だ。
ニュージーランドで活動する火山学者で、スミソニアン全地球火山活動プログラムの一員でもあるジェナイン・クリップナー氏は、「当面の問題は情報の乏しさで、懸念している」と話している。
(翻訳:エァクレーレン)
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