埼玉県ふじみ野市で起きた医師を人質にとった立てこもり事件で、逮捕された66歳の容疑者は、調べに対し「母が死んでしまって、この先いいことがないと思った。医師やクリニックの人を殺して自殺しようと思った」と供述していることが捜査関係者への取材でわかりました。
27日の夜、埼玉県ふじみ野市の無職、渡邊宏容疑者(66)が医師の鈴木純一さん(44)を人質にとって立てこもり、殺人未遂の疑いで逮捕された事件で、警察は散弾銃を撃って殺害したとして、29日午前、容疑を殺人に切り替えて検察庁に送りました。
これまでの調べで、容疑者の92歳の母親は数年前から鈴木医師の訪問診療を受けていましたが、栄養をチューブで送る「胃ろう」を在宅で受けられないことに不満を抱いていたとみられ、母親が死亡した翌日に鈴木医師とクリニックの関係者合わせて7人を呼びつけたことがわかっています。
その後の調べで、動機について、「母が死んでしまい、この先いいことがないと思った。自殺しようと考え、自分1人だけではなく医師やクリニックの人を殺そうと思った」と供述していることが捜査関係者への取材でわかりました。
警察は長年介護を続けてきた母親の死をきっかけに事件を起こしたとみて、いきさつを調べています。
鈴木医師が院長を務める埼玉県富士見市のクリニックの入り口では、花を手向けたり、手を合わせたりする人たちの姿が見られました。
富士見市内に住む渡辺利夫さん(72)は、亡くなった妻が鈴木医師の訪問診療を受けていたということで、今回の事件を知って手を合わせに訪れました。
渡辺さんは「鈴木さんは何かあれば深夜の1時でも家に来てくれ、妻の診療をしてくれました。妻は亡くなってしまいましたが、先生にお会いできたことを本当にうれしく思います。なぜこんな事件に巻き込まれてしまったのかまったくわからず、本当に悲しいです」と涙ながらに話していました。
また、自身と父親が鈴木医師の診療を受けたことがあるという女性は「自分の時間を犠牲にしてでも患者と家族のことを考える先生で、誰も悪く言う人がいないくらい人徳がありました。話をよく聞いてくれて分かりやすく丁寧に説明してくれ、恨みをかうような人ではなかったです」と話し、突然の死を悼んでいました。
からの記事と詳細 ( 埼玉 立てこもり事件 容疑者「医師たち殺して自殺しようと」|NHK 首都圏のニュース - NHK NEWS WEB )
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