福岡県中間市の私立双葉保育園の送迎バス内で29日、男児が倒れているのが見つかり、その後死亡が確認された事故で、園側がこの日、園児の出席確認をしていなかったことが捜査関係者への取材でわかった。死因は脱水症状などによる熱中症だったことも判明。男児は施錠されたバス車内に約9時間にわたって放置された可能性があり、県警は園関係者から事情を聞いている。 【写真】10年ぶりの「ままだいすき」…津波にのまれた娘から届いた15のメール
県警によると、死亡した男児は、同市土手ノ内3、倉掛冬生(とうま)ちゃん(5)。女性園長(40歳代)は29日朝、バスを運転して冬生ちゃんを含む園児7人を迎えに行き、冬生ちゃんはバスの後部側の座席に座った。園には午前8時半頃に到着し、園長はバスを施錠。園長も、園児を誘導する職員も園児の降車確認はしなかったという。
同日夕頃、保育園からの帰りのバスに冬生ちゃんが乗っていないことに母親らが気づき、午後5時15分頃、同園駐車場に停車していた朝の迎えに使ったバスの前方の席で冬生ちゃんが発見された。車内には登園時に持つバッグが残されていた。司法解剖の結果、死亡したのは午後1時頃と推定されるという。
園長は調べに対し、「園児たちを朝、降ろした際に鍵をかけた。(冬生ちゃんがバスに)乗った認識はあった。その後、降りたものだと思っていたが、確認したわけではない」と説明しているという。
また、保育園の担任はこの日、冬生ちゃんがいないことに気付いていたという。欠席する際は、保護者からは園長に連絡することになっており、担任は園長に連絡があったと思い込み、確認はしなかったという。園職員はこの日、園児の出席確認や点呼を行っておらず、県警は日常的に出欠確認をしていなかったとみて運営実態を調べている。
「冬生を返して」母親おえつ
冬生ちゃんの母親(37)と祖母(59)は30日、報道陣の取材に応じ、かわいい盛りの我が子や孫を突然失った悲しみと怒りをあらわにした。
29日夕、母親は帰りの保育園からのバスを待っていた。冬生ちゃんが帰ってきたら、30日に水族館に行くために買ったお出かけ用の服を見せて喜ばせようとしていたという。しかし、バスに最愛の息子は乗っていなかった。母親は「なぜこんなことに……。暑い車内で冬生はどれだけ苦しかったのか。冬生を返して」とおえつを漏らした。
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