陛下がついに重い口を開かれた
異例ともいえる発言が波紋を呼んでいる─。6月24日、宮内庁の西村泰彦長官が定例会見で、天皇陛下のお気持ちをそう“拝察”した。 「陛下はこれまで、東京オリンピックとパラリンピックについての意見を口にされることはいっさいなく、側近にも無言を貫いておられました。しかし、心の中ではずっと、五輪開催への懸念をお持ちだったということでしょう」 声を潜めてそう明かすのは宮内庁関係者のひとり。 「両陛下はコロナ禍に苦しむ国民のことを第一に考えられてきました。ワクチンを接種される予定は公表されておらず“国民に行きわたるまでは、打たない”との意思が感じられます」(同・前) 西村長官は同会見で記者からの質問に「陛下から直接そういうおことばを聞いたことはありません」と強調したが、静岡福祉大学の名誉教授で近現代の皇室制度に詳しい小田部雄次さんはこう否定する。 「長官が独断で陛下のお気持ちを公言することはありえないと思います。とはいえ陛下が直接命じられたわけではなく、長官が感じとった五輪に対する陛下のお気持ちを、長官の責任で公言する形にしたのでしょう」 では、なぜ東京五輪の開催まで1か月を切った今、西村長官は陛下のお気持ちを“代弁”したのか。 「6月22日に陛下が菅義偉総理大臣から内奏を受けられたことがきっかけでしょう。内奏とは、国務大臣などが陛下に国政の報告を行うことで、2人きりなので内容は明かされません。先日は菅総理が五輪のコロナ対策などについて説明したとみられています。その報告で“五輪開催への懸念を国民に示すべき”と、思い立たれた可能性があります」(前出・宮内庁関係者) 西村長官が定例会見を行うのは2週に1度の頻度。今回を逃すと五輪の直前になってしまう。開催に強硬姿勢の政府に対して、改めてリスクを認識してもらうため、観客の有無などが決まるぎりぎりの時期に“メッセージ”を出されたのかもしれない。
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