新型コロナウイルスに対応する医療従事者に感謝を示すとして、東京都心を飛んだ航空自衛隊のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」。好意的な声も多いが、過密状態の都心を飛んだのはこれまで3回だけだ。騒音や事故への懸念に加え、「政治利用では」との指摘が出ている。 (中沢佳子)
六機編隊のブルーインパルスは五月二十九日午後零時四十分ごろから約二十分間、文京、江東、港、世田谷区などを中心に千葉、神奈川県境付近まで8の字を描くように飛行した。都心を飛んだのは一九六四年の東京五輪開会式、二〇一四年の旧国立競技場のお別れイベント以来だ。
真っ青な空に白い筋を描いて自在に飛行する様子に人々は歓声を上げ、「感動した」「元気をもらった」などと反応は上々。メディアは「医療最前線へエール」「空から勇気」などと伝え、病院で看護師や職員が手を振る姿が報じられた。
しかし、ネット上では「病院上空を爆音で飛行するのは、医療関係者や周辺住民に迷惑」「医療機関や従事者に経済的支援を手厚くしたほうが敬意と感謝を示せる」と批判も。本紙にも「違う税金の使い方がある」「コロナが収束したわけじゃないのに、なぜ今」といった意見が寄せられた。
羽田空港増便に伴う都心新ルート問題に取り組む「みなとの空を守る会」の増間碌郎共同代表は、港区の自宅でごう音に驚いた。「何ごとかと見たら、ブルーインパルスが真上を横切っていった。撮影ヘリも飛び、接触事故が起きないか不安だった」。飛行に見入る病院関係者のニュースにも引っかかったという。「どの病院かと思ったら、自衛隊中央病院だった」
異例の「航空ショー」は、どういう経緯で行われたのか。航空幕僚監部(空幕)広報室の久米田昭氏は「省内で話が持ち上がった。確かに、都心で飛ばすのはハードルが高いが、国土交通省や東京都との調整はスムーズに進んだ。高度や飛行音も問題のないレベルだ」と話す。
発案者について、河野太郎防衛相は当初「プロセスはどうでもいい」と言葉を濁したが、その後のブログや会見で、海外で同様の展示飛行をしていると知り自らの指示で空幕に検討させたと説明した。現在六機の編成機が六月から四機に減ることや、全国の医療従事者に一度で感謝を表す方策を考えた空幕から、首都上空を提案されたという。
T−4練習機の訓練飛行の一環で、費用は燃料や発煙油、整備員輸送で計約三百六十万円。医療関係者の手当に回してはという声に、河野氏は「別物だ」と反論し、二回目の飛行や来年の五輪で披露する可能性も示している。
政治評論家の有馬晴海氏は「医療従事者への感謝の思いは本当だろう。ただ、防衛省はブルーインパルスの練習の成果や飛行技術の高さを見せるチャンスを常にうかがっている。その機会になるはずの五輪が延期になり、代わりに実施した面もあるのでは」とみる。
軍事ジャーナリストの前田哲男氏は「東京の空は旅客機が飛び交い、すぐ近くでも自衛隊や米軍の航空機が飛ぶ、騒がしい状態。そこにブルーインパルスが飛べば、接触事故の潜在的危険が高まる」と指摘。飛行で医療従事者への感謝を示す発想に「関係性が分からない」といぶかり、こう断じた。
「新型コロナ問題では防衛省も頑張ったと伝えたいのだろう。でも、これではブルーインパルスの政治利用だ」
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